埼玉栄は後半15分にMF嶋家礼人(3年)が、FKを直接狙ったがわずかに左へ外れ、38分にはFW西嶋心汰(2年)が正面から打ったが、GKの正面を突いてしまう。しかし39分にDF川島大翔(3年)が左から好クロスを配給すると、加藤がヘディングシュートを決めて1点差とし終了直前には左CKを得たが追い付けず、押し気味に試合を進めながらも1点しか奪えなかった。
決勝点を挙げた大木は、今年2月にMFからSBに転向。「本当は自分がニアポストを任され、ファーに入る予定だった石﨑(陽太郎=3年)がジャンプできないというので変更したんです。これがうまくいきましたね」と会心の初得点に破顔一笑。
6月の総体予選まで、守備陣形は3人か5人で守り勝ってきたが、夏場から攻撃力向上のための練習に時間を割き、8月の和倉ユース大会で優勝した日大藤沢(神奈川)や興國(大阪)などの強豪と対戦し、自信をつけたそうだ。
平尾監督は「悪い内容でも点を取れて勝てたのは成長した証拠。何とかベスト8までつれていきたかったので、正直ほっとしています」と3年ぶりの準々決勝進出に安どの表情を見せた。
トップ下で攻守に奮闘したゲーム主将の林直孝(3年)は、「相手の圧力が強かったし、立ち上がりは緊張して動きが鈍かったが先制点でリズムが出ました」とニッコリ。正智深谷との準々決勝については「関東高校大会予選1回戦では0-4と完敗したので、夏以降に成長した姿を見せつけて勝ちたい」と意欲を示す。大木も「公立校で残ったのはうちだけ。誇りに思う。声を出し、体を張り、粘り強く戦う“ウラトン”魂で必ずリベンジします」と意気軒高だった。
(文・写真=河野正)
▽第103回全国高校サッカー選手権埼玉予選
第103回全国高校サッカー選手権埼玉予選