決勝特有の空気感に慣れてからは、大分鶴崎らしいパスサッカーが少しずつ見え始めた。「力を出せば勝てると信じていたのですが、サッカーなので相手もある。最初は少し硬かったので押し込まれる場面があったのですが、途中から自分たちのペースに自分たちで持ち込めた。距離感が良くなった」と振り返るのは首藤謙二監督だ。

大分鶴崎 vs 大分(写真=森田将義)

 大分鶴崎にとってのファーストチャンスが訪れたのは30分だった。DF2東喜礼(3年)が右サイドの高い位置から中にスローイン。FW9岡部遥(3年)がダイレクトでPA右に落とし、走りこんだ野々下がゴール前に速いボールを入れると、後方から走りこんだFW10安東壮大(3年)がスライディングでゴールに流し込み、大分鶴崎が均衡を崩した。

「ワンタッチプレーやクサビ、落としがチームでできた」(野々下)後半は大分を押し込む時間がさらに増えた。後半4分には自陣から左前にフィードを送ると、安東がCKを獲得。ゴール前に入れたボールに志賀が反応したが、わずかに合わない。10分には安東のパスがPA左に入り、抜け出した野々下がシュートを放ったが、DFに阻まれた。

 17分には野々下のパスからPA右に出た東がゴール前にボールを入れて、岡部がシュートを放ったが枠の外。37分にDF13髙野将太(2年)が打ったシュートのこぼれ球を安東が回収。そこからPA左にパスを出すと走りこんだMF7河野歩夢(2年)が倒され、PKとなった。河野自らが蹴ったPKは相手GKに防がれ、突き放せなかったが、そのまま1-0でタイムアップを迎え、14年ぶりの全国大会出場が決まった。

(文・写真=森田将義)

▽第103回全国高校サッカー選手権大分予選
第103回全国高校サッカー選手権大分予選