守護神・GK1志水惇生もまた、この勝利を支えた一人だ。

 「中部予選では失点が多かった。だから今日は隙を見せず、完封することだけを考えていた」と語る志水。終盤、浜松西が放ったFKやカウンターにも落ち着いて対応し、無失点で試合を締めた。

 「うちは1-0でもいい。まずは失点しないことが何よりも大事。その上で、全国に出るっていう目標に向かって、1試合ずつ勝っていきたい」と力を込める。

 常葉橘にとって、ここから先は「格上との戦い」だ。指揮官が言うように、「開誠館、富士市立、静岡学園……」。県内の名だたる強豪と正面から向き合う。

 それでも、この1勝ににじんだ覚悟と、攻め続ける姿勢は、強い風を呼ぶ気配がある。静かに、そして確かに、常葉橘はまたひとつ階段を登った。

(文・写真=西山和広)

▽令和7年度全国高校サッカーインターハイ(総体)静岡予選
令和7年度全国高校サッカーインターハイ(総体)静岡予選