指揮官もまた、この勝利に慢心はない。

「もう少し主導権を取れるかと思ったが、相手も最後の大会でぶつかってきた。その中で勝ち切れたのは“気持ち”の部分」と振り返る。

 ただ、課題も明確だ。

「クロスに対して2枚3枚入っていけるような“ゴール前の質”をもっと高めたい。ブロック決勝では60%の今を80%、いや100%に仕上げたい」と、冷静にチームの現在地を見つめている。

 選手たちも、次の一戦をすでに意識している。

「3点を目標にしていた。もう1点欲しかった」「次は絶対に勝って、2次予選に行く」

 そんな言葉の端々からも、この勝利がゴールではなく、新たなスタートラインであることが伝わってくる。

 指揮官の言うように完成度はまだ60%かもしれない。だが、ピッチの上で全員が「次」を見据え、その足を止めない。

 それが、横浜修悠館横須賀の今を強くしている最大の理由だ。

 2-0のスコア以上に、“未来への意思”が刻まれた勝利だった。

(文・写真=西山和広)

▽第104回全国高校サッカー選手権神奈川予選
第104回全国高校サッカー選手権神奈川予選