歓喜を呼んだ「信じる力」 劇的PK戦を制した市立幸の執念
市立幸イレブン
9月27日、夕暮れが迫りピッチの大半が影に覆われた神奈川工科大学グラウンド。第104回全国高校サッカー選手権神奈川予選2次予選1回戦で、新城と市立幸が激突した。年末年始の全国へと続く道をかけたこの一戦は、100分間の死闘を経てもなお決着がつかず、運命のPK戦へと突入。そこで起きたのは、監督とキーパーの絶対的な信頼関係が生んだ劇的な勝利劇だった。
試合開始から新城の猛攻が始まった。12分、DF5若松碧斗のシュートがポストを叩き、スタンドがどよめく。「流れもってこい」「ゴーゴーレッツゴー」の声援が響く中、新城は得意のロングスローとセットプレーで市立幸ゴールに波状攻撃を仕掛けた。対する市立幸は、まるで防波堤のように粘り強く耐え続ける。鈴木晋也監督が戦前に立てた「相手の固さもあるし、ロングスローとセットプレーが特徴なので、そこ我慢強く戦おう」という作戦を徹底していた。この我慢強さの源泉は、リーグ戦での降格という厳しい現実を乗り越えてきた経験にあった。苦しいK4での戦いが、この日の粘りに直結していたのだ。
▽第104回全国高校サッカー選手権神奈川予選
第104回全国高校サッカー選手権神奈川予選