雨に濡れたピッチで、ボールは時に予想外の動きを見せる。それでも彼らは迷わず走り、信じて動き、声をかけ合ってゴールへ迫った。環境や展開に左右されずに「自分たちのサッカー」をやり切る姿勢は、まだ序章に過ぎない選手権の物語を一歩前に進めた証だ。

 「どこが相手でも、自分たちのサッカーで一試合一試合勝ちたい」。鈴木監督の言葉に込められた信念は、この雨の逆転劇を経てチーム全体に刻み込まれたに違いない。

 三島北の夏は終わっても、選手権の秋はまだ始まったばかりだ。

(文・写真=西山和広)

▽第104回全国高校サッカー選手権静岡予選
第104回全国高校サッカー選手権静岡予選