キックオフ再開後もセットプレーからチャンス。センターサークル付近からのFKで中央に送ると前に飛び出したGK廣末がパンチングしかしセカンドを拾った前橋育英9番高沢はGKが戻る前にグランダーのクロス。キャプテン大塚が右足でシュートを打つがゴールの上へ外れ同点弾とならず。続く35分にも前橋育英がセットプレーからチャンス。直接狙える位置からキッカー3番角田が左足でふわりと浮かし変化を付け走り込んだ5番の松田がシュートを放つが上手くミートできず枠の外。前橋育英は終了間際にもセットプレーから。右サイドからのFKを9番高沢の右足。DFの頭を越え中途半端に飛び出したGKを抜けて3番角田の足元へ。ワンタッチでシュートすることができず、懸命に足を伸ばしてきたDF三国がクリア。
 ここまでピンチをしのいできた青森山田が前半アディショナルタイム。ゴールキックからのこぼれ球を10番高橋がダイレクトで8番嵯峨へ縦パス。嵯峨が7番郷家にフリックしワンツーでPA内へ進入する。ダイレクトですべり込みながらのシュートがDFの股を抜けてゴール左に突き刺さった。嵯峨の今大会3点目は大きな追加点。前半は青森山田が2点のリードで前半を折り返す。

 後半最初のチャンスは青森山田。鳴海のポスト直撃の惜しいシュート。直後の11分、鳴海のポストプレーで右サイド嵯峨へ。嵯峨のクロスはニアに走り込んだ11番鳴海が高い身体能力からの胸トラップ-右足ボレーでしっかりとゴールに流し込み大会5点目でスコアを3-0とする。更に13分、またも鳴海が追加点を奪う。自陣からのFKをGK廣末のロングキックで一気にゴール前へ。郷家がヘディングで後ろへ逸らす。裏に走り込んでいた鳴海が落ち着いて右足で流し込み2分間で2得点。スコアは4-0に。内容では勝っているだけに悪い流れを断ち切りたい前橋育英も選手交代でポジションがCBから右SBに変わった松田の攻撃参加や前半同様、前線のコンビネーションでゴール前までボールを運びゴールを狙う。人見のポストプレー、大塚と長澤を中心とした鍛え上げられたボールの動かし方、縦パスからの全員が連動した攻撃で主導権を握るが、青森山田の体を張ったDF陣が前橋育英にゴールを割らせず時間だけが刻一刻と過ぎていく。良い守備から攻撃に転じる青森山田は43分、高い位置でルーズボールを40分に鳴海と替わってピッチに入った佐々木快が拾いPA外から左足でミドルシュート。アウトにかかったボールはGKの手をかすめてゴール左上に突き刺さりシュート1本で1ゴールと結果を出した。結局このゴールが今大会ラストゴールとなり5-0で試合終了の笛が鳴り響く。
 少ないチャンスを効率よく生かし、どれだけ点差がついても決して手を抜かない青森山田の根底にある精神力が青森県に初の優勝旗をもたらした。一方、敗れた前橋育英はスコアこそ差がついてしまったが、決勝にふさわしいサッカーの質を魅せてくれた。

(文・佐々木竜太)