数的不利になってしまった東京実業だが選手は誰一人諦めない。36分、果敢にドリブルで仕掛け相手を苦しめていた日永がPA内で相手に倒されPKを獲得する。これをきっちり萩原が決めて2-2の同点に。ロスタイムに東京実業8番森がPA外から浮いたボールをドライブ気味にうまく合わせるもポストに嫌われここでホイッスル。
 そして、試合は延長に突入。延長前半、数的不利にもかかわらず運動量で圧倒する東京実業。8分、相手陣地でパスをつないだ都立東大和南が7番宮尾に縦パスを入れるとPA内冷静に右隅へと勝ち越しゴールを決める。延長後半へと折り返しても気持ちを切らさない東京実業は最後の力を振り絞って走り続ける。逃げ切りたい都立東大和南だったが10分のラストワンプレー。右サイド遠目のFKから中央に放り込んだボールは10番萩原が執念のヘディングを叩き込み同点とする。歓喜に沸く東京実業。試合はそのまま終了のホイッスルがなり勝負はPK戦へ。

 先攻の東京実業は1人目と3人目が失敗。後攻の都立東大和南は2人目が失敗しキッカーは5人目。決めれば勝ちとなるキッカーを務めるのはGK1番山本。真ん中に蹴ったボールがネットを揺らした瞬間、都立東大和南の準決勝進出が決定した。選手、スタッフ、ベンチ、応援席すべてが飛び出し喜ぶ都立東大和南。

 厳しい状況に追い込まれながらも不屈の闘志で追いすがった東京実業の思いを胸に都立東大和南は11月6日、西が丘にて行われる準決勝で強豪帝京を相手にジャイアントキリングを起こせるか。

(文・写真 佐々木竜太)