後半開始と共に、修正点がすぐ現れたのは大宮東。中盤で奪ったボールを技ありのヘディングトラップで16番野村が抜け出し、シュート。あわよくば1点のシーンも、GK深澤が気迫のセービング。大宮東は相手のサイドバックに追い込むようなプレスをかけ始める。攻守ともにアグレッシブになり、ショートカウンターの回数が増える。
しかし、戦い方を変えるつもりは無い武南はあくまでもボールを保持しながらゴールに迫る。後半2分、左サイドから右サイドに展開されたボールを、再度8番奥村が中央で受ける。これを強烈なミドルを放つもゴール右にそれる。
そして後半3分、遂にゲームが動く。武南14番各務が左サイドを果敢に攻めると、大宮東DFはたまらずボックス内で足をかけてしまう。このPKを8番奥村が落ち着いて決め、武南は欲しかった先制点を手にする。
一方、先制を許し前に出ざる得なくなった大宮東はアグレッシブさが更に増し、攻撃的な守備を続ける。
しかし、15分も立つと大宮東のプレスの勢いは落ちてきてしまう。すると後半15分、武南3番砂川からのスルーパスを左サイドで10番加藤が受けてシュートを放つ。しかし、これはGK福嶋がしっかりと処理。ゴールは奪えずも、加藤は常にゴールに向かう姿勢でゲーム中、終始大宮東を脅かす。
この辺りから、武南はあえてボールを持つことでリスク管理とタイムマネージメントを始める。2枚のCBとGKで距離を取り、相手のFWのプレスを狂わせる。すると後半29分、武南が右サイドからチャンスを作り、8番奥村がニアに飛び込みボールに触れる。これがゴールに吸い込まれ2-0とリードを広げる。
2点のビハインドとなったものの、この1点が起爆剤になり、大宮東が勢いを取り戻す。後半30分、右サイドでボールを奪取すると、9番古澤一真の豊富な運動量を見せ、オーバーラップからクロスを放る。これに11番平石大樹が詰めるもゴールを奪うことは出来ない。何としても得点が欲しい大宮東、後半39分にルーズボールを拾った11番平石から5番高橋が左サイドに抜け出しシュートを放つ。しかし、この執念も虚しくDFに阻まれてしまう。
そして、ここで試合終了のホイッスル。大宮東はゲーム中自分達の時間帯を作ることに成功したが、最後までゴールを奪う事が出来なかった。対して、自分達の戦い方を変えず、完璧な試合運びを見せた武南が見事に準々決勝へと駒を進めた。次戦は全国総体4強の昌平と対戦する。
(文・写真 石津大輝)