これで均衡を破った青森山田が試合の流れを一気に掴む。最終ラインから最前線までの距離をコンパクトに保ちつつ、強度の高いプレスを敢行。中盤でことごとくセカンドボールを拾い、相手に付け入る隙を与えない。一方の東福岡も何とか反撃を試みるが、フィニッシュまで持ち込めず。前半はシュートすら放てず、青森山田の術中にハマる展開となった。 そして、迎えた後半。この試合の運命を分けるポイントが訪れる。同2分に石原利玖の仕掛けから守田怜司がラストパスを受け取ると、GKとの1対1の局面を迎えたのだ。しかし、右足から放った渾身の一撃はポストに阻まれ、絶好機をフイにしてしまう。 チャンスを逃せば、直後にチャンスが来るのがサッカーだ。まさに絵に描いたような展開が訪れたのは9分。ピンチを凌いだ青森山田は右サイドを駆け上がった田中がゴール前にクロス。これを浦川が豪快に右足で蹴り込み追加点を奪った。これで一気に試合の主導権を握ると、62分に東福岡に1点を返されたが、試合終了間際に郷家友太が熱戦に終止符を打つ3点目を奪って勝負あり。明日の3回戦では昨年の選手権決勝で覇権を争った前橋育英を迎える。「前橋育英も万全の準備をしてくると思う」と黒田剛監督は警戒を強めるが、ライバルを倒した青森山田はどこよりも勢いに乗った状態で再度大一番に挑む。
(文・写真 松尾祐希)