2016年のインターハイでは神奈川県予選を制し、全国大会に出場した(写真=多田哲平)

――では、飛び抜けた子は何が違うのでしょうか。

 とても難しい質問ですね。たぶん教員が教えられるようなものではないでしょう。これまで過ごしてきた環境のなかで何か強烈に関心のある対象を見つけて、それに食いつく力のある子がいます。ひと言で表すと「好奇心」というものになるのかもしれませんが。

 目標を見定めて、そこにまっすぐ進んでいく。そういう力がある子がこの慶應には多い印象です。公認会計士や中小企業診断士の試験に歴代最年少で合格する子とか、新種の貝を見つける子とか、様々な分野で功績を残す生徒がいますからね。

――それは言われてできるようなものではないと。

 彼らはそれを自然にやっています。我々が作ろうとして作れるものではないなといつも思います。もちろん、その子の人生において良い経験があったり、サポートする環境があったりと、外的要因はあるかもしれません。ですが、それに食いついて離さない。強い意思を本人が持っているかどうかは非常に重要ですね。

――最終的には自分の意志ということですね。

 サッカーもそうですよね。突き詰めていくのは大変な困難がたくさんあります。プロ選手になるのは本当に大変ですし、強い意志を持って壁を乗り越える必要があるでしょう。高校生の間は困難とは考えず無我夢中でやっているところもあると思いますが、そこに疑念がないと一番いいのだろうなと。

――それがひと言で言うと「のびのび」ということですね。

 そうですね。彼らは苦行とはまったく感じていないようです。心底サッカーが好きで、のめり込んでいる、そういう感覚が非常に大事かなと。もちろん高校生なので、その感覚がアンバランスになる時はあるかもしれませんが、うちの飛び抜けた子たちはそれをスマートにやるので驚かされますね。

【次のページ】 慶應義塾 後藤功部長#2「野球部だけでなくソッカー部も学校を盛り上げていけたら」【文蹴両道】(3)