野球部に負けじとサッカー部も全国制覇を目標に日々トレーニングに励んでいる(写真=多田哲平)

 この夏、野球部が甲子園で107年ぶりの優勝を果たして話題となった慶應義塾高校。神奈川県トップの偏差値75以上を誇り、スポーツに関しても優秀。まさに文武両道を地で行く名門校だ。

 通称「塾高」は、福澤諭吉が掲げた「独立自尊」の理念を基に、生徒の自主性と気品を重んじ、将来「全社会の先導者」となる人材の育成を教育の目的としている。

 そんな慶應義塾のソッカー(サッカー)部も2016年にインターハイ出場を果たすなど、全国での躍進を目指して日々研鑽を積んでいる。勉強とサッカーを両立させる意義は。23年間に渡って部長を務める後藤功先生に伺った。

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――勉強とサッカーの両方に打ち込むからこそ得られるものはなんだと思いますか?

 飛び抜けた子を目にする機会が増えるのは大きなメリットでしょう。うちの学校は医学部を目指す子もいて、勉強面にものすごく力を入れている子も多いです。それを見た周りの生徒がまた努力して学校全体の学力が上がっていく。

 それはサッカーにも言えることで、「これだけ凄いやつがいるんだ。ついていけるように頑張ろう」と、目標になる子が身近に多くいれば、他の選手も向上心を持つようになります。勉強においてもスポーツにおいても強い意志を持った優秀な子が多いのは、この学校の良いところですね。

――そうした優秀な子に周りが自然と引っ張られると。

 教員から学ぶよりも隣の同級生を見ていたほうが刺激を受ける場面は少なくありません。「あの子、なんで、こんなことできるんだ」「なんで、そんなこと知っているんだ」と、互いを認め、インスパイアし合い、ともに成長していく。大人の私としても羨ましい環境です。

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