先制されるも“あっ”という間の逆転劇! 

右サイドを駆け上がるキャプテンの米澤康太

 試合中、厳しい口調で選手たちを叱咤するシーンが見られたものの、試合後は柔和な表情で小山哲司監督はプラス面に目を向けていた。「試合の入り方がよくなくて、先手を許したけれど、そこからひっくり返すことができたのはチーム力がついてきた証拠。いつも自分たちの思いどおりにいくわけではない。大事なのは、そういうときにどう修正していけるか。セットプレーの練習を積んでいるけれど、それが結果につながったことも評価したい」

 9月20日、秋期リーグ第3節の対戦相手は江戸川大。夏に舞い戻ったかのような強い日差しが照りつける千葉大グラウンドで、11時30分にキックオフされた。

 この日のスタメンはGKが大野哲煥、ディフェンスラインは左から山之内裕太、中原翔矢、廣瀬智行、安里駿汰、2ボランチが小栗和也と松川翔、左サイドMFが村下和也、右サイドMFが米澤康太、そして前線に井之元和之と香川滉太が並ぶ4-4-2システムだった。

 油断できない江戸川大を攻略すべく、ボールを動かしながらゴールチャンスをうかがう城西国際大。だが、開始10分に単独ドリブルから先制点を許し、早くも追いかける側に回される。

 3バック+両ワイドとともに中盤のプレスバックによって根気よくボール奪取を挑んでくるばかりではなく、ボールを奪ったあと、素早い展開からゴールに迫ってくる江戸川大に手を焼いた。

「前半は自分たちのいつものサッカーができなかった。ロングボールが多くなっていたし、こぼれ球も拾えないし、お互いの距離感がよくなくて、連携が生まれなかった」とFW香川滉太が分析するとおり、城西国際大の“らしさ”がほとんど見られなかった。 

 前半33分、そんな流れを払しょくしようと、中盤の村澤桂輔を投入。しかしながら闘争心にあふれる江戸川大の前に、なかなかリズムを作れずにいた。

 ハーフタイムを利用し、もう一度、自分たちのやるべきプレーを確認し合う。小山監督が特に修正したのが次の2点だ。まず、中盤の構成に手を加えた。途中出場の村澤桂輔をアンカーにし、その前に小栗和也と松川翔を配置。4-3-3システムにすることで、中盤でのボール奪取力を強化しようと考えたのだ。

 そしてもうひとつが「アンカーの村澤とCBの2人で中央を固めて、両サイドの選手をできるだけ高くすること」(小山監督)だった。

「前半は少し慌ててしまい、うまく試合に入っていけなかったけれど、後半はセカンドボールをたくさん拾えたし、相手の縦パスをカットしたり、守備の役割をしっかりこなせた。攻撃面でも前にいいボールを配給できたと思う。みんなで声をかけ合って、最後まで集中して戦えた」と、アンカーの村澤桂輔が振り返るとおり、前半とは打って変わってスピーディーで、展開力のある自分たちのスタイルを取り戻す。

 逆転劇は“あっ”という間の出来事だった。

 後半10分に同点ゴール、さらに13分にダメ押しゴールを決めたFW香川滉太は「1点目は自分のところにうまくボールがこぼれてきて、それを落ち着いて押し込んだ。2点目は自分の得意な形。相手をひとり外したとき、(左利きの)自分のけりやすい位置にボールを運べたので、あとは自信をもってねらった」と、胸を張る。

 後半11分に右コーナーキックのチャンスから逆転ヘッドを決めた右SBの安里駿汰は「セットプレーのときは後ろにいてカウンターに備えるのが自分のいつもの役割だけど、“ゴール前に入っていっていいぞ”と監督にいわれて。(ダンゴ状態の競り合いのなかで)ひとつ前で先輩がつぶれてくれて、自分のところに本当にいいボールがきた。入った瞬間、正直、驚きました。感触? 今も残っています(笑)」と、価値ある一発に喜びもひとしおだ。

 3-1になってからは完全に城西国際大のペース。後半25分に米澤康太に代え、1年生アタッカーの田里駿、44分に村下和也に代え、難波祥平を起用するなど、最後まで手綱を緩めることはなかった。

 次節は2週間後の10月4日、ホームでの千葉大戦だ(13時50分キックオフ)。春期リーグでは5-1と退けた相手。優勝争いが佳境を迎えるリーグ終盤に向けて、着実に勝ち点3を積み上げたい。

(取材・文・写真=小室功)