帝京 vs 三菱養和SCユース(写真=佐藤亮太)

 そんな帝京の攻勢を三菱養和は執拗な守備で耐えに耐えた。とはいえ、いわゆるドン引きではなく、できるだけ前からプレスをかけ対抗し、カウンターを繰り出した。その我慢の甲斐があった。

 試合の局面がガラリと変わったのが、後半23分、FW11平石のFK弾。実は三菱養和にとって、後半初めてのチャンスであり、途中出場の平石にとって、ファーストプレーだった。相手GKの位置を見定めたFW11平石は「右が空いていたので蹴った。狙い通りだった」と会心の笑みを浮かべた。

 この予期せぬ得点に帝京ベンチからは「FKの失点だ。忘れろ‼」と指示が出たが、帝京イレブンの動揺は結果、収まらなかった。

 カウンターの応酬の様相を呈すなか、10分後の33分、三菱養和は同点。そして終了間際、見事なループシュートで逆転に成功。背後への裏抜けを得意とするFW23中村は「イメージ通り」と胸を張った。

 圧倒的な劣勢からなぜ逆転劇は起きたのか? いくつかの要因がある。

 得点に絡んだ選手がいずれも交代選手だったことからFW11平石は「投入された選手がパワーを持ってプレーできたから」と言えば、FW7小宮は「シュート練習の成果が出た」と要因を語った。

 さらに後半開始から投入されたFW23中村は「僕自身、諦めるのは好きじゃない。庄内監督からも『1点入れば、まだある』と言われていた。1点ずつ積み重ねれば、必ず逆転はあると信じていた。それに僕自身、逆転できると思っていたので」とまったく諦めていなかったことが大きいようだ。

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