再び攻撃のギアを入れたい神戸弘陵は後半に入って、主将のDF5岡未來(3年)とMF10北藤朔(3年)を投入。自陣で回すだけになっていたポゼッションの意識を、「CBが横パスを多くするのではなく、縦に付けていく」(大井)形に変えていく。攻撃のスイッチを入れる大井が触る回数も増えた結果、攻撃陣の持ち味もより出ていく。後半11分には北藤のパスから、DF2豆成僚(3年)がクロス。こぼれ球を北藤が決めて、再び神戸弘陵がリードをゲット。21分にはMF28中邑蕾羽(2年)からのパスを受けた馬場が切り返しから、ダメ押しとなる3点目を奪った。試合終了間際の32分には中邑のパスをうけた途中出場のMF11有薗依咲樹(3年)が角度のない位置から放ったシュートがDFに当たって、4点目に。終わってみれば4点を奪った神戸弘陵が勝利した。

 「1試合通して言えば3点差が付いて良かったですが、前半だけで見たら追加点が獲れずに終わってしまったのは残念でした。ロングスローのこぼれ球をやられたのは反省点かなと思います」。谷監督がそう口にした通り、快勝に満足することなく決勝へと気を引き締めたのが印象的だった。昨年のインターハイ予選は本命視されながらも、決定機を活かしきれず決勝でPK負け。「去年の総体決勝はPKを自分が外したし、試合の流れでもチャンスがあったのに決められなかった。決めていたら勝てていたと思うので、悔しかった」。馬場がそう振り返る通り、インターハイ予選は悔しさが強い大会だ。県内3冠を目標にしているからこそ、まだ満足はしていない。決勝も神戸弘陵らしく得点を積み重ねた結果、新人戦に続く2つ目のタイトルを手にして、歓喜に沸くつもりだ。

 (文・写真=森田将義)

▽令和5年度全国高校サッカーインターハイ(総体)兵庫予選
令和5年度全国高校サッカーインターハイ(総体)兵庫予選