865人。これは、より高度なレベルの試合を担当するために、上級審判員として3級へと昇格し活動を続ける高校生年代のいわゆる”ユース審判員"の数である。
 現在、約17万人がプレーしているといわれる高校生年代のわずか0.5%に相当する数である。

 近年、トップレフェリーの平均年齢は国際的に若年齢化し、サッカー世界最高峰リーグの1つ、イングランドのプレミアリーグで高い評価を得るマイケルオリバー氏は現在35歳と、若手の台頭が進んでいる。また、国内においても近年ユース審判員が必要なカリキュラムを踏み、審判資格保有者の中でわずか1%しかいない2級審判に昇格する例もあり、成長が著しい。
 この865人の中から近い将来、ブラジルW杯決勝の審判(第4の審判員)を担当した西村雄一氏のように審判員として、サッカー最大の祭典の地を踏む未来の審判員たちが生まれるかもしれない。

 今回、日本国内で行われる草の根からJリーグや国際試合まで、すべての試合を陰ながら支える審判員たちの資格制度を紹介する。

▼4級審判員
 審判員は、一部の特例制度を除き4級からスタートする。各都道府県サッカー協会が主催する「4級資格取得講習会」に参加し、通常は座学と実技講習を受け、最後に筆記テストを行い1日の中で完結する講習会になる。合格すると緑色のワッペンが支給され、各支部、地区市区郡町村サッカー協会の参加の団体、連盟等が主催する試合、または特に優れていると判断された4級審判員は都道府県協会が主催する大会を担当することができるようになる。
 2019年度時点で、234,966人(内高校生年代は64,218人)の審判員がこれに該当する。草の根を支える大切な審判員たちである。

▼3級審判員
 各都道府県協会が定めた主審や副審を一定以上経験し、協会もしくは連盟より推薦を受けると3級への昇級試験を受けることができる。
 内容は筆記試験と体力試験。筆記試験では特定の状況における審判員の対処及び再開方法などのシチュエーションを題材とした記述系の問題が出題され、体力試験では75M(25秒)・25M(30秒)以内とした連続24本ランなどを実施する。合格すると青のワッペンが支給され、各都道府県協会が主催する試合を担当することができる。
 2019年度時点で、35,682人(内高校生年代は865人)の審判員がこれに該当する。全日本少年サッカー大会、高校選手権やインハイの都道府県予選などを支えている審判員たちだ。

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