高校時代のMF染野唯月(右)
ちょっと何を考えているのか、わからない。
鹿島アントラーズの高卒ルーキーのひとりである染野唯月のプレーを見て、そんな感想を漏らす人が少なくないが、FWにとってこれほどの褒め言葉はないだろう。
ボールの周辺状況をめぐり、プレーの優先順位が決まっていくサッカーでは技術もさることながら、相手との駆け引きがものをいう。
次のプレーを予測させない。もしくは予測されていたとしてもその裏をかく。ギリギリで、プレーの選択を変えられるか、否か。そんな“惑わす力”が攻撃的な選手には問われるといっても過言ではないだろう。
発想の転換と、それを涼しい顔で、やってのける技術の高さ。染野のプレーには思わず腰を浮かしてしまうような驚きがある。
尚志(福島)2年時の第97回全国高校サッカー選手権で5得点を挙げ、大会得点王を分け合った(ほかに2人)。なかでも衝撃的だったのは、準決勝の青森山田(青森)戦でのハットトリックだろう。ゴールへのアプローチからフィニッシュに至るまで、どれをとっても点取り屋としての資質にあふれていた。