いよいよ佳境を迎える第93回全国高校サッカー選手権大会。10日に行われる準決勝を前に4強が出揃ったこれまでの戦いを振り返る。

■大観衆を魅了したオープニングゲーム。
 15,083人もの大観衆が詰め掛けた駒沢陸上競技場で行われた開幕戦。夏の総体王者東福岡(福岡)に都立三鷹中等教育学校(東京)が挑んだ一戦は全国の舞台に相応しい熱戦となった。戦前の予想通り攻める東福岡に対し、好セーブを連発したGK武田啓介を中心にブロックを固めショートカウンターを狙う都立三鷹中等教育学校。見応えのある攻防はスコアレスで終えた前半を経て後半、東福岡が均衡を破る。セットプレーからMF中島賢星が頭で今大会ファーストゴールを叩き出すと、CB小笠原佳祐にも追加点が生まれ2ゴール。粘る都立三鷹中等教育学校を振り切って見事初戦突破。総体王者のプライドを守り、期待通りの勝利を掴んで見せた東福岡と臆することなく果敢に立ち向かい、善戦した都立三鷹中等教育学校。満員の観衆からは激戦を演じた両チームのイレブンに大きな拍手が送られた。

■強豪の敗北と新鋭の躍進。
 流通経済大柏(千葉)対作陽(岡山)、山梨学院高等学校(山梨)対滝川第二(兵庫)、尚志(福島)対広島皆実(広島)をはじめ1回戦から強豪が対峙する好カードが多く実現した今大会、勝者の陰でいくつもの名門が大会を去った。優勝候補大本命の呼び声が高かった東福岡は目標に掲げた夏冬2冠達成ならず。1回戦、2回戦ではJ内定のMF中島賢星、MF増山朝陽に加え、MF赤木翼ら役者が揃い踏み順調に勝利を収めるも、静岡学園(静岡)と激突した3回戦では総体得点王FW木藤舜介の欠場も少なからず影響し、自慢の攻撃陣は影を潜めた。同時に鉄壁を誇った守備陣も後半立て続けに3失点。“赤い彗星”の終戦はあまりにも早かった。その東福岡の前に大きく立ちはだかった静岡学園は魅力的なサッカーを披露。アタッキングサードでは積極的にドリブルで仕掛ける技巧派軍団のプレーに多くの観客が注目。95年以来の日本一を目指した名門の夢は準々決勝で日大藤沢の前に散るも、地区予選ではやや影を潜めていた“静学らしさ”を存分に見せつけたと言えるだろう。また、09年度準優勝校青森山田(青森)の初戦敗退も大きな驚きを与えた。番狂わせを演じたのは過去出場の3大会では未勝利に終わっていた中津東(大分)。悲願の全国初勝利を金星で飾ると続く 2回戦でも奈良県立郡山を下して初の3回戦進出の快挙を達成し躍進を遂げた。

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