写真:共同 「第94回全国高校サッカー選手権で17大会ぶり3度目の優勝を果たし、喜ぶ東福岡イレブン」
■東福岡が史上6校目の夏冬連覇!
“最弱のレッテル”を覆して見せた。史上6校目の夏冬連覇へ挑んだ東福岡(福岡)は、決勝で國學院久我山(東京)を圧倒し見事戴冠。17年ぶりの日本一を成し遂げると、埼玉のピッチは“赤い彗星”の歓喜に染まった。
05年大会で野洲(滋賀)が優勝して以降、11大会中9大会で初優勝校が生まれるなど、高校サッカー界全体の底上げとともに実力均衡が叫ばれる中での“夏冬連覇”は東福岡の強さを改めて誇示する。振り返れば今季当初、過去の世代と比較され最弱と評された今チームは、結果を残すことができず苦悩の日々が続いた。それでも、一枚岩となったチームは日に日にレベルアップ。昨夏総体制覇に始まり、プレミアリーグWESTでは2位と自信を深めて挑んだ今大会で97年以来の全国制覇を成し遂げた。
そんなチームを支えたのは、MF中村健人、FW三宅海斗らが牽引した攻撃力もさることながら鍛えられた守備陣。大会優秀選手にも選出されたU-18日本代表GK脇野敦至を最後方に構え、CB福地聡太、CB児玉慎太郎が砦を築く。そこに両サイドバックを務めたSB小田逸稀、SB林雄都、さらにはアンカーのMF鍬先祐弥らがいぶし銀の活躍を披露し安定感際立つ守備を組織した。全6試合を戦い喫した失点はわずかに1点。11人のハードワークによってもたらされた堅守が日本一の立役者となった。
■國學院久我山、星稜、青森山田・・・大会を沸かせた強豪校
東京勢として17年ぶりの決勝進出、同校初の準優勝を成し遂げた國學院久我山。FW澁谷雅也、MF名倉巧らが織り成すパスワークは前橋育英(群馬)、青森山田(青森)といった百戦錬磨の名門校を翻弄。惜しくも準優勝という結果に終わったが、大会を通じて強烈なインパクトを残した。東福岡に喫した大敗による悔しさは、来季以降更なる躍進の糧となるだろう。続いて、星稜(石川)が達成した4年連続4強入りの成績も称賛に値する素晴らしい快挙。群雄割拠の全国において、常にトップレベルの成績を維持することは決して容易ではない。その中で、河崎護監督が行う継続的なチーム作りは1年間の集大成となるこの選手権で実を結んできた。今大会主将を務め、2ゴールを挙げたMF阿部雅志は1年時からメンバーに名を連ねていた選手。さらに準決勝東福岡戦、2点ビハインドの後半には1年生MF敷田唯を投入するなど、難しい局面でも積極的にチャンスを与える采配に快挙のワケが覗えた。王座奪還を目指す2016年シーズンも大いに期待したい。
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