指導者界屈指の”高校サッカーオタク”として知られる立正大淞南の南健司監督が、大会期間中にこんな話をしていたのが印象に残っている。立正大淞南のキャプテンは代々、大勢の注目が集まる抽選会で、何を質問されても良いよう事前にインタビューの練習をしている。だから、「うちの選手はできて当たり前、他の選手はきっちり応えられて偉いな」と考えていた。だが、他の指導者に話を聞くと多くの選手が同じようにインタビューの練習をしているのを知り、誰もが気にも留めない細部まで拘れる指導者のみが辿り着ける舞台が選手権だと気付いたという。上位に入れるのは、拘りを持つ指導者の中でも更に拘り続けた一部の指導者のみだ。舞台が国立競技場へと戻る来年度の選手権では、指導者のどんな拘りが覗けるのか今から楽しみでならない。

(文=森田将義 写真=K.Nishiyama)

▽第98回全国高校サッカー選手権
第98回全国高校サッカー選手権