DF川前陽斗(飯塚/3年)写真=森田将義

DF川前陽斗(飯塚/3年)
 父はセレッソ大阪やサガン鳥栖でプレーした川前力也氏。力強い守備が売りだった父とは違い、ボール扱いに長けた技巧派タイプのDFだ。「ファイター系だった」(陽斗)現役時代とは違い、指導を行う佐賀県のVALENTIAは、テクニックに定評のあるチーム。どれだけ相手が寄せきても、焦らずにいなして味方にパスを繋ぐ技術は、中学時代に監督と選手の立場で父から教わった物で、飯塚高校が繰り出す最終ラインから徹底したビルドアップの起点として機能する。

元々はアタッカーだったが、中辻喜敬監督に183cmの身長と身のこなしの軽さを買われ、高校1年生の夏にDFにコンバート。「最初は抵抗があったけど、やっていくうちにDFの楽しみが分かった。相手のキーマンを抑えられると燃えてくるし、やりがいも感じる」と新たな役割を得て、飛躍を遂げていく。転向と同時に、苦手としていた左足のプレーも磨き、希少価値の高い大型左SBとして注目を集めるようになった。昨年の夏と今年2月にはJの2クラブに練習参加。プレーや判断の速さに戸惑いながらも、持ち味であるビルドアップはプロのステージでも通用すると手応えを掴んだという。

 憧れの世界を垣間見て、プロ選手になりたい気持ちは高まっている。「みんなから憧れる選手になりたい」と口にするのは、ただJリーガーになるのではなく、より高みに行くためだ。まずプロ入りを掴み取るためにも、残りわずかとなった高校の舞台で活躍を誓う。

(文・写真=森田将義)