東京実業・片山智裕監督
大田区の西蒲田に位置する東京実業は東京都の1部リーグT1リーグで関東第一高等学校、駒澤大学高等学校、國學院久我山高校ら東京の名門校としのぎを削っています。部員が14~15人しかいない年もありましたが、初のプロ契約選手を輩出するなど、近年強豪校の座にのし上がりつつあります。そんな、170名の部員を抱える片山智裕監督にお話を伺ってきました。
――就任された経緯は?
私は修徳高校から流通経済大学に進んで、父が旅行会社を経営していたり、流通経済大学に観光学部があったこともあり、将来は旅行関係の仕事を考えていたんです。ただ、教員免許も取っておこうと思っていたので、教員免許も取ってどちらにも行けるようにしていました。その後、色々な人と話をしたりしていくうちに、学校の先生もいいなと思って。そうしたら、自分の父と東京実業が仕事の関係で繋がりがあって、その時たまたま東京実業がサッカーの先生いなくなるからコーチを探していたタイミングだったんですね。それが東京実業との縁です。就任してからは約15年ぐらいですかね。28歳の時に専任教諭になって、それまでは非常勤講師としてやってました。
――高校生の指導はどうですか?
おもしろいですよ。高校生を教えるのは本当にやりがいがあります。大人よりも一歩手前の段階だから、大人としても扱わないといけないし、ただ精神的には子供だから、なんとか大人にしていく作業が、まずサッカーよりも第1歩かなと思っています。挨拶が出来るだとか、礼儀が正しいとか、ルールを守るとかは当たり前として、その先に信念や情熱を持っているのか、他人の話を素直に聞けてそれを実行できるか、反省能力や提案能力があるか、という大きく分けてこの3つを持っている人が本当に社会に出て通用する人だと思うんです。だからその部分に関しては徹底して教育をしていますね。
――高校生に指導するにあたって気をつけていることはありますか?
色々とルールを作っています。何をしてもいいだと、選手がわからなくなるので、細かいルールの中で選手が選びなさいって形を取っています。他のチームはあまりないと思いますけど、うちは部則もありますし、スタッフのルールもあります。多分、選手も指導者側の判断基準がしっかりしている方が、わかりやすくて平等に扱われてるって感じがすると思うんですね。
そうですね、多いですね。チームに力がつきだしてから多くなりました。スカウトの人も大学の人も来ているんで。最近では、日高拓哉(ラインメール青森)っていう生徒が東京実業から初めてプロ契約を結びました。だから、信念持ってやることが大切なんだなと改めて認識させられましたね。
――初のプロ契約選手を輩出するなど、徐々に力をつけているとのことですが、以前はどうでしたか?
実はそんなに強くなかったんです。部員が14~15人しかいない年もあったりして。あと、この学校、昔は選手権までやらない風潮がありました。その前に3年生が引退するんですよ。ただ、それはおかしいと思って、新チームになった時、選手権まで続けない選手には辞めてもらいました。選手権前に辞められると、チームとして非常に困るので。そうしたら選手が減っちゃったんですね(笑)でも、そんな人数が少ない中、一年生が30人ぐらい入ってきてくれて、初めて都大会出場した時は感極まりましたね。選手権でもベスト8まで進んで、それはもう嬉しくて嬉しくて。強くなったきた事もあって、サッカー部からの指定校推薦も多くなってきているんですよ。