最近、スポーツ選手がユニフォームの下に装着しているスポーツブラのようなものはいったい何なのか。サッカーにおいては海外選手がゴールセレブレーションでシャツを脱いだり、交代でピッチを後にする選手が同様にユニフォームを脱いだりする際に一風変わったインナーウェアを身につけている光景を目にする機会が多くなった。
ー単なるウェアではないー
このスポーツブラのようなインナーウェアは、実はGPS端末を装着するために身につけるものだ。サッカーは従来、選手のパフォーマンスを数値化することが困難だと言われていたが、このGPSを用いて選手の位置情報を常時計測することにより、総走行距離はもちろんプレーエリア(ヒートマップ)、最大速度、平均速度、速度別の走行距離、加速と減速の大きさと回数などの様々なデータを活用することが可能になったのだ。
現在では、世界各国の様々なメーカーがこのようなGPSを製造販売しているが、その中でも1番の性能を誇るのが北アイルランドの企業『STATSports』が展開するデバイス“APEX”だ。APEXの特長は他ブランドを大きく上回る「衛星との交信の頻度とデータ精度」で、リアルタイムかつ正確に選手の位置情報を測定することにより、実際の選手の動き(速度、走行距離等)と寸分違わないデータを手に入れることが可能となる。
ーJクラブでも既に導入済ー
このデータ精度の高さから世界中の多くの代表チームやクラブがAPEXを導入しており、イングランド・プレミアリーグではマンチェスター・ユナイテッドやリヴァプール、アーセナルなどの強豪はもちろんその他のクラブも含め実に全体の8割を超えるクラブに採用されている。
Jリーグでもヴィッセル神戸、横浜F・マリノス、セレッソ大阪および浦和レッズの4クラブがAPEXを導入しており、今後さらに需要が拡大していく見込みだ。
ープロ選手のみがターゲットなのかー
GPSの活用がメリットをもたらすのはプロクラブだけではなく、むしろ育成年代の選手のトレーニングにGPSを導入することで科学的根拠の下で選手個々に対して適切な負荷をかけることができるようになり、ケガを予防したり、更なる成長を促したりといったことが可能になると考えられる。
選手自身が速度や走行距離、スタミナ(時間帯別の速度やスプリント数等)を数値で把握することで自身の課題や強みを認識しプレースタイルを整理することに繋げることができるし、指導者目線でも確かな根拠のもとで選手へのアプローチが行えるなど、高校年代のチームが導入するメリットは非常に大きいと言えるだろう。
もちろんデータはそれを正しく分析し、トレーニングへの落とし込みやゲームプランの構築などに適切に活用できて初めて有益となるものだ。育成年代の指導者、選手のレベルは年々上がってきているが、今後はより多くのチームにGPSが普及し、データや科学的根拠に基づいた更に質の良い指導がなされることでより多くの素晴らしい選手達が輩出されることを期待したい。
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