エースナンバー“10”の原点となったサッカーの王様ペレの感動と興奮の真実、サッカー王国ブラジルの知られざる過去、サッカー経験者も満足できる臨場感あふれるサッカーシーン、ペレを支える両親からの惜しみない愛など、感動あり、興奮ありの見どころ満載、サッカーファンであればあるほど楽しめると高評価を得ている映画『ペレ 伝説の誕生』。

 そしてこの度、本作を一足先にご覧頂いたセルジオ越後さん登壇のトークイベントが開催。ペレ来日時は通訳を務めるなど、親交のあるセルジオさんから、ペレの人柄や当時のブラジルサッカーについて、またリオ五輪に向けた親善試合でブラジルとの対戦を控えた若き五輪日本代表についても語ってくれた。

 スーパー・スターならではの、ペレの意外なプライベートはもちろん、「日本のサッカーが羽ばたくためにも、この映画をぜひみてほしい!」と、サッカーファンに向けて本作の魅力も熱く語ってくれた。「今までペレが登場&題材している映画は多かったが、本作はまるでタイムスリップしたような喜びがあった」と大絶賛!!さらに、W杯でブラジルとの対戦を控えているサッカー日本代表選手らへの熱いエールとともに、ブラジルや日本サッカーの現状についてのコメントに、会場には “あ、なるほど!”という反響も!!

本作の感想は?
 この映画での“ペレ”には、プレーだけでなく、彼の子供時代や仲間の絆、育てられた家庭環境なども描かれている。”人間・ペレ”がそこにあり、この絆や家族愛に涙が誘われる。あっという間に時間が過ぎてしまった。

ペレのプライベートについて
 釜本さん(釜本邦茂)の引退試合の時に、ペレの通訳を頼まれたんだ、国立競技場でね。当時は(今みたいに)ポルトガル語を喋る人が少なかったからね。スーパースターとしての生活をこなしながら自分の演出もうまいし、まわりに気を遣える人なんだ。映画をみたみなさんはお分かりになると思うが、優れた両親のもとで育てられてきたことも影響されているだろう。ただ、「スーパースターの生活は大変なんだ」と、愚痴をこぼしていたよ(笑)周囲の人に気を遣って、外ではお酒も飲めないし、食事は高級なお店に連れていかれるが、本当はそういう店ではなくて、焼き鳥が食べたいんだ、と言っていた笑。気分転換するのが難しくて、なかなか孤立した生活を強いられていると。その中で、周りの期待に応える自分のブランドをこれほどまでに長い期間保ち続ける姿がとても印象的だし、素晴らしい。

プレジルにとって”ペレ”の存在とは
 もはや文化の一つではないかな。一番活躍している選手は、結局ペレに憧れてプレーをやって、その選手に憧れて次から次へと新たなスターが誕生している。背番号10番というステータスを作ったのはペレで、きっと日本の本田もそう思ってると思う。永久欠番ではないけど、何世代にかけて背番号と名前が残っていく。スーパースターからスーパースターへ、元はペレからだ!というところが証明していると。今のネイマールもそうだと思う。同じFCサントスでペレの後継にして歴史を引き継いてる。ただ、ペレの名を超えられるまでの選手が出てこない、それがペレの偉大さを物語っている。世界中にあれだけ認められたサッカー選手っていないでしょうね。

W杯、サッカー日本代表へのコメント
 リオ五輪開幕のちょっと前にブラジル代表との親善試合が決まったらしいが、大丈夫でしょう、今のブラジル代表にはペレがいないから。ブラジルはつい最近監督が変わったばかりだし、どんな差があっても諦めることはない。失うものもない。マイアミの奇跡も二回起こせば、もはや奇跡ではない。ただ、ブラジルに勝っても五輪の予選で負けたら何の意味もない。今回は、ブラジルに勝って、メダルに近いところまで上り詰めてほしい。また、個人的にも日本を応援している。なぜなら、日本が勝ったら仕事が増えるから。(会場また爆笑)こんなプロ意識を選手たちにも持っていてほしいな。(笑)

「今の日本代表に足りない物はなんだと思いますか?」
 レベル的に足りない、と言ってしまうと簡単だけど、日本が世界のトップの国に近づくためには、環境そのものが向こうと似てないと難しいしね。ブラジルは学歴社会じゃないからサッカーが出来るし、学校でサッカーをやらないから自由にプレーできる。日本はちゃんとした学校に行きつつ世界一を目指す訳だから難しいよね。日本でプロを目指すには自営業の息子とかじゃないと難しいね笑。国そのもののサッカー環境を変えなきゃね。

最後に
 この映画に出会ってタイムスリップした喜びがあった。そしてこの映画を通して、今の日本の若い人たちにはサッカーをする環境について改めて考えてみてほしい。貧しい村だけど毎日仲間と遊び、サッカーをする。そして絆が深くなり、自分がプロになれなくてもペレが羽ばたくことにまわりが喜びを感じている。サッカーをする環境はどんどん変わってきていて、ブラジルでもサッカーをやってない子が多くなった。みんな立派なスパイクで、芝生のサッカー場で、高級車でベビーシッターが出迎えもしながらサッカーをやっているらしい。日本も似ていると思う。そうなっていくと、ハングリーさも足りなくなる。サッカーをするために人間がどのように成長すれば良いのか、モノの価値観はどういう順番で覚えればいいのか、この映画を観て学んで欲しい。また、サッカーは苦労のためではなく、喜びを得るためにやるのだと、感じて欲しい。ペレはああいう環境で育てられた土台があった上に、チャンスが訪れた際、それをモノにできる運と実力があったからこそスーパースターになれたと思う。この映画は、日本のサッカーが羽ばたくための資料になり得るのではないか。

 「名前は知っているけど、野球界の長嶋さんや王さんのプレーを実際に見ている子供は少ない。これと同じで、世代が変わってきても、ペレが残した偉大な業績、ペレの凄さを伝えていく、知っていることが大切なんだ。」と、最後の最後までセルジオ越後さんのペレ愛、サッカー愛に満ち溢れたトークイベントは、大興奮のうち終了となった。

 映画『ペレ 伝説の誕生』
【ストーリー】 
スラムしか知らない17歳の少年は、絶望の淵で“禁じられた切り札”を選択する
1950年、ブラジルは優勝確実と言われた自国開催のW杯の優勝を逃し、全国民は絶望した。スラムで育った少年ペレはブラジルの敗退にショックを隠せず涙に暮れる父親に約束する。「僕がブラジルをW杯で優勝させる」1958年、スウェーデンW杯のブラジル代表チームに史上最年少で選ばれたペレだったが、そこには多くの試練が待ち受けていた ―

【ペレの偉業とは?】
― ペレのプレーを見るため、戦争が停戦したー
― ペレの背番号“10”がエースナンバーの原点となった―
― プロチームに所属してから、わずか18か月で世界を制した― 
― ブラジルのW杯優勝5回のうち、3回はペレが出場した大会によりもたらされた―
― 世界最多得点記録(1283得点/1375試合)

製作:ペレ、ブライアン・グレイザー『ビューティフル・マインド』『ラッシュ/プライドと友情』
脚本・監督:ジェフ・ジンバリスト 『ファベーラの丘』 、マイケル・ジンバリスト 
撮影:マシュー・リバティーク 『ブラック・スワン』
音楽:A・R ラフマーン 『スラムドッグ$ミリオネア』  
キャスト:ケヴィン・デ・バウラ、ディエゴ・ボネータ 『ロック・オブ・エイジス』
     コルム・ミーニイ『ワン チャンス』セウ・ジョルジ『シティ・オブ・ゴッド』
     ヴィンセント・ドノフリオ 『ジュラシックワールド』
     ロドリゴ・サントロ 『300〈スリーハンドレッド〉』 

2016年アメリカ/107分/スコープサイズ/5.1chサラウンド/日本語字幕翻訳:風間綾平 
配給:アスミック・エース ◆公式HP:http://pele.asmik-ace.co.jp/ © 2015 Dico Filme LLC

7月8日(金)TOHOシネマズシャンテほか全国ロードショー!