別格だった青森山田MF松木玖生のパフォーマンス(写真=松尾祐希)

 8月21日に行われた全国高等学校総合体育大会サッカー競技大会の準決勝。プリンスリーグ東海において9戦全勝で首位を走る静岡学園(静岡)に対し、青森山田(青森)は圧倒的な力を誇示した。

 序盤から球際で強さを見せ、J注目の古川陽介(3年)、川谷凪(3年)らを擁する静岡学園の攻撃陣にシュートすら打たせない。攻めても鋭いショートカウンターで相手ゴールへ迫り、前半だけで2得点。後半開始早々の4分にはMF松木玖生(3年)がこの2点目となる直接FKを捻じ込んで勝負を決定付け、終了間際にもMF小原由敬(3年)が加点した。

 被シュート0の4発快勝。攻守で相手に付け入る隙を与えなかった青森山田において、松木のパフォーマンスは別格だった。

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 中盤で出足の鋭さを見せ、足元の技術に定評がある静岡学園のアタッカーからボールを回収。コンビを組む宇野禅斗(3年)との距離感も抜群で、的確なチャレンジ&カバーで相手をゴールエリアに近づけさせなかった。

 攻撃でもボールを奪うと、躊躇なくゴールへ進撃する。左足のキックで背後のスペースにボールを出すだけではなく、トップ下に近い場所に入ってスルーパスやシュートから決定機を演出。先制点の場面では3列目から猛然とゴール前へダッシュし、MF藤森颯太(3年)の左クロスに合わせてゴールを決めた。35分に生まれた那須川のゴールも、松木のパスを起点にMF田澤夢積(3年)が仕掛けて生まれたモノ。後半開始早々には鮮やかな直接FK弾で追加点を決め、その後も決定的な仕事を何度も見せた。

 攻守で違いを見せた松木。今大会は休養日が増えて最大でも2連戦となり、暑さも例年ほど厳しくない。そうした環境で身体が動いており、チームとして16年ぶりとなる夏の王者に向けてコンディションは良好だ。しかし、本人は決勝に向けて気を引き締め、油断は一切ない。

「夏に勝てないとずっと言われていて、自分たちはそれが悔しかった。そうやって言われるのが嫌だったので、このように決勝まで勝ち進めてホッとしているけど、次に勝たないと意味がない」。

 得点王ランキングでトップに並んだ青森山田の10番の頭にあるのは米子北に勝つことだけ。22日の決勝でも自身のゴールで勝利を導き、チームに16年ぶりの日本一をもたらしてみせる。

(文・写真=松尾祐希)

▽令和3年度全国高校サッカーインターハイ(総体)
令和3年度全国高校サッカーインターハイ(総体)