堀越vs國學院久我山

 苦しんだ先に待っていたのは、2年連続の選手権出場だった。

 11月13日、高校サッカー選手権の東京都予選A決勝が行われ、堀越國學院久我山と対戦。後半に反撃されて2失点を喫したものの、前半に奪ったリードを守り切って4-2で勝利を手にした。

 今から1年前、堀越は29年ぶり3度目の出場権を掴んだ。本大会ではキャプテンの日野翔太など個性豊かな選手たちがチームを牽引し、過去最高となるベスト8に進出した。

 準々決勝では青森山田に0-4で敗れたものの、全国舞台で強豪校と対戦した経験は新チームを作る上で財産になる。「球際の攻防やロングスローの対応、そしてサッカーへの向き合い方。この1年間はそこを徹底して、その環境の中で整理をしてきました」。佐藤実監督も全国トップレベルのチームとの対戦を意味あるモノにすべく、身を持って体験した強豪校の強さをチームに落とし込んでいった。

 しかし、簡単にことは運ばない。4月の関東大会予選は初戦で敗退。続くインターハイ予選では準決勝で帝京に敗れた。勝てば全国大会に出場できるなか、後半終了間際に追い付かれて逆転負けを喫した。

 そこからチームはMF宇田川瑛琉、MF古澤希竜(ともに3年)など、全国舞台を経験した選手たちを軸に立て直しを図る。T1リーグでは大敗する試合もあったが、今予選では初戦から準決勝まで3試合連続完封。確かな手応えを掴んで、決勝のピッチに立った。

 相手は9月のT1リーグで1-6で敗れた國學院久我山。同じ過ちを繰り返すわけにはいかない。その中で堀越は序盤から主導権を握る。10分にMF山口輝星(3年)が先制点を決めると、22分にも高谷遼太(1年)が加点。31分には山口がカウンターからネットを揺らし、前半だけで3点のリードを奪った。

 後半は相手に押され、自陣で守る展開が続いた。52分と60分に失点し、リードはわずかに1点。前半の展開とは一変し、窮地に追い込まれた。

 そうした状況でも生かされたのが、インターハイ予選やリーグ戦での経験だった。

 「2失点を喫し、そこからさらに失点する展開はいろんなところで経験した。Tリーグやインターハイ予選でも経験していたので、やるべきことをやって凌ぐしかない。その中で耐えれば、4点目が生まれてくるはず。僕の中でもやることを徹底しようという意識は持っていました」

 もちろん、2失点は反省すべきだが、その後は粘り強い守備で相手の攻撃を跳ね返していく。我慢を続けながら、最終盤に古澤が追加点を奪って勝負を決めた。

 後半は苦戦したが、追加点を奪って勝ち切った点はチームの成長を証明するモノだった。苦しんだシーズンの最後に掴み取った全国舞台への挑戦権。開幕までにさらなる成長を遂げ、過去最高のベスト8以上を目指す。

▽第100回全国高校サッカー選手権東京予選
第100回全国高校サッカー選手権東京予選