見事にプリンス1部初昇格を果たした報徳学園の高田秀一監督

 11月23日、プリンスリーグ関西 プレーオフ(参入戦)決定戦がJグリーン堺で行われ、報徳学園(兵庫2)と綾羽(滋賀1)の一戦は、前後半終わって2-2で譲らず、報徳学園がPK戦を5-3で制し、見事にプリンス1部初昇格を果たした。その報徳学園を率いる高田秀一監督に試合後お話を伺った。

 

ーー今日の試合を振り返ってみてもらえますか?

 3年生の引退試合だったので、ポジションもバラバラですけど、サブも全部3年生でいきました。「この最高な時間を骨の髄まで楽しもう!」ということで、戦術も一応言いましたけど、そんなことよりも、「とにかく何があっても、リードしても、追い付かれても、2点差3点差になったとしてもとにかく楽しもう!」と送り出しました。(歓喜に沸く選手たちを指し)だからこんなです(笑)。PKになった時もGK櫻井がヒーローになる時間が来ただけなので、みんなが"やったな!"という空気感だったので、狙い通りと言えば狙い通りでした。

ーーFW船越くんが最後PKを決めて、感極まっていましたね?

 FW船越もサブに回してしまいましたけど、最後決めてくれたので"やっぱりエースだな"と。彼も僕の顔を見て泣き崩れたので、"苦しめていたんだな"と思いました。彼も本当に成長してくれました。だってあんな負け方をして(選手権で相生学院との初戦で敗退)"辞めてやる!"ってなってもおかしくない状況で、全員残ってくれましたし、空気感を変えてくれましたし、本当に幸せ者ですね。僕は"本当にこいつらが大好きやで!"と言ってきたし、もう最高です。

ーープリンス昇格という事で学校でも胸を張れますね?

 ちょっとだけですけどね(笑)。彼らの人生に誇りを持たせてあげたかった。報徳学園は野球やラグビーやバスケットだったのが、プリンスに上がる事で少しは誇れると思うので、それが一番良かったです。ここから先の事は彼らがやってくれると思うので。

ーー今年の3年生はどんな子達でしたか?

 純粋です。ただただ純粋です。僕が迷ったらこいつらも迷うし、僕が"やろうぜ!"って言ったら絶対にやってくれる。そういう純粋な子達でした。真面目で純粋でかわいい子達です。

ーー1年生から接してきて、改めて今日の試合をみてどういうところが成長したと思いますか?

 1年生の夏にここで(J-GREEN堺)でnew balance CUPをした時に相生学院にPKで負けているんです。それで新人戦でもPKで負けているんです。この子達はPKで勝ったことがなかったんです。でも今日は全部決めたので、"自分たちでちゃんと克服出来る"っていう成長を感じました。最後の最後に僕の手から離れたんです。それが一番です。これでいいんです。だからもう彼らに話すこともないし、きっかけだけなので。報徳ファミリーがこうやって一家団らんしてくれれば。選手権ではかしこまってしまって、これが出来なかったので。

ーー監督の中で選手権と今日では何が違いましたか?

 ファミリーの親父が僕なんですけど、(選手権の時は)僕が気を使いました。子供に気を使って、スタッフにも保護者にも気を使って。でも大黒柱なので迷ったらあかんという事で、(選手権で負けた後に)言いたいことを全部言って、「それでもついてきて欲しい!」という話をしたんです。そしたら反抗期なので"あ?"って言われてもおかしくないんですけど、その日からブラジル体操を取り入れたんです。とにかくでっかい声を出して不安を取り除くって。それをフルパワーでやってくれて、みんなで雰囲気を変えてやってくれました。それが今日の結果に繋がったと思います。本当に良かったです。

(文・写真=会田健司)

▽高円宮杯 JFA U−18サッカーリーグ2021プリンスリーグ関西 プレーオフ(参入戦)
高円宮杯 JFA U−18サッカーリーグ2021プリンスリーグ関西 プレーオフ(参入戦)