25連覇を達成した青森山田イレブン
Dブロックの本命は夏のインターハイとU-18高円宮杯プレミアリーグEASTを制した青森山田だ。松木玖生(3年、FC東京内定)、宇野禅斗(3年、町田内定)が中盤で睨みを効かせるダブルボランチは今大会屈指のレベル。前者は圧倒的なスプリントで3列目からゴールを狙い、後者は堅実なプレーで黒子としてチームを支える。彼らの脇を固める人材もハイレベルで、U-18日本代表のMF藤森颯太(3年)は突破力が高く、最前線の名須川真光(3年)も空中戦に強い点取り屋。ベンチに控える選手もスタメン組と遜色ない実力を持っており、誰が出てもクオリティは落ちない。最終ラインも抜群の安定感を誇っており、三輪椋平と丸山大和(3年)のCBコンビは今大会最強のユニット。跳ね返す力が高く、危機察知能力も備えている。両SBの負傷は気がかりだが、U-18高円宮杯プレミアリーグEASTでリーグ最小失点を記録した最終ラインの牙城は簡単に揺るがない。
隙が見当たらない王者に対し、他校はどのように挑むのか。対抗馬の一番手として期待されるのは3回戦で対戦の可能性を持つ阪南大高だ。今年は各所にタレントを揃えており、攻守で安定した戦いを見せてきた。そして、何より最前線に絶対的なストライカー・鈴木章斗(3年、湘南内定)を擁しているのは心強い。高打点のヘッドと正確なポストプレーはもちろん、ゴール前での決定力は今大会屈指のレベル。当たり負けしないフィジカルの強さも持ち合わせており、少ないチャンスを決め切れば勝機は見えてくる。
その他では東山も打倒・青森山田に意欲を燃やす。今夏のインターハイではベスト8で青森山田に敗れたものの、今年の高体連では唯一複数得点を奪った力は本物だ。今年は2年生主体のチームだが、経験値が高く、個で勝負できる選手が揃う。右サイドハーフの阪田澪哉(2年)は圧倒的な速さを持つプロ注目のアタッカー。彼を生かすボランチの松橋啓太、真田蓮司(ともに2年)も献身的に振る舞いながら攻撃にも顔を出せる。期待値の高い下級生たちが一戦毎に経験を積めれば、チーム力はさらに高まるはず。青森山田と対戦する可能性があるのは準々決勝。そこまでに成長できるかがポイントになりそうだ。
また、この山は東山のように一度青森山田に敗れ、リベンジを目指すチームが揃っているのも特徴の一つ。インターハイの3回戦で0-8の大敗を喫した丸岡や、昨冬の選手権・準々決勝で0-4の敗戦を味わった堀越の戦いぶりにも注目したい。
青森山田が前評判通りに勝ち上がるのか。それとも王者の進撃に待ったをかけるチームが現れるのか。明確な構図を持つDブロックの戦いから目が離せない。
(文=松尾祐希)
▽第100回全国高校サッカー選手権
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