暁星国際イレブンは準々決勝で東京学館を下して4強入り(写真=多田哲平)

 「サッカーって楽しくできれば、”グルーヴ感”が出てくる。形にこだわらず、もっと自然体で、自由自在にやっていいと思うんです。日本の古典にある『ゆく河の流れは……』ってやつです。風で葉っぱが揺れたり、川のせせらぎだったり、そういうものがサッカーに近い感じかなと思ったりしています」

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 野村監督は独特な表現でサッカーを語る。

 野村監督の推薦で専大松戸に入学したという志賀はそんな指揮官について、「常に楽しくやることが第一だと言い続けています。たまに変わった表現をする時もありますね。この試合(習志野戦)の前にも『木陰でアイスコーヒーを飲んでいるくらいリラックスしてやろう』と言っていました」と笑う。

 選手たちにはいつも自然体でサッカーを楽しんでほしい。その気持ちが野村監督の根本にはある。

 「僕らは”高校サッカー”をやっているんじゃなくて、サッカーをやっているんです。小学校や幼稚園ではサッカーが好きで、楽しいからやっているわけじゃないですか。その気持ちでやればいいんです。いつからか『部活』というと、体育のような厳しいものに近くなっているから。新しい価値観を持った僕らが楽しく、のびのびやって、結果的に勝てた。勝てたのはおまけみたいなものかなと思います」

 5月10日に行われる日体大柏との決勝戦に向けて、指揮官や選手たちに気負いは、おそらくないだろう。

 「僕らの根本にあるのは勝ち負けじゃなくて、サッカーを楽しくやること。それだけです。家にいてリラックスしている時も、授業を受けている時も、サッカーをやっている時も心の状態は全然変わらない。自然体でサッカーを楽しむ、これが一番大事。それで結果もついてきたから最高じゃないですかね」

 決戦を前にしても、野村監督の、そして専大松戸のスタンスは変わらない。

(文・写真=多田哲平)

▽令和4年度関東高校サッカー大会千葉予選
令和4年度関東高校サッカー大会千葉予選