3回戦に挑んだ関大北陽イレブン(写真=会田健司)

 関大北陽の矢田竜之監督が「立ち上がりの10分で2点。セットプレーとクロスからの失点というところが響いた」とコメントした通り、拮抗した展開で後半を迎えたかったが3点のビハインドが関大北陽イレブンに大きくのしかかった。

 しかしそれでも気持ちを切らさず諦めなかった関大北陽。後半は一気に加速する自慢のカウンターを披露し、相手ゴールに迫った。そして47分、右サイドでボールを受けたMF12村田将太が見事なターンで相手を剥がすと、縦に持ち運び右足を振りぬく。シュートはDFのブロックに当たってしまうも、村田の強気が乗り移ったボールはループシュートに軌道を変えて逆サイドネットに吸い込まれた。

 関大北陽の武器である、ボールを奪った瞬間に5人6人と一気に駆け上がるカウンター。このゴールも村田が一人で決めたのではなく、他の選手たちが駆け上がってパスコースを作っていたことで生まれたゴールだ。

 その後もチャンスを作った関大北陽だったが、最後まで2点目を奪うことはできず。矢田監督は「後半はうちの方がシュートが多くて、充分にやり合えた試合でしたが、こういった舞台を経験しているチームがしっかり取るべきところで取って、そこで慌ててしまうというところがまだまだ未熟なところかなと思います」と経験の差を敗戦の理由に挙げた。

大津の"規格外"の攻撃を体験したDF陣(写真=会田健司)

 「下剋上」「古豪ではなく強豪と呼ばれるように」と挑んだ全国の舞台。大阪2部リーグ所属ながら、大阪代表の権利を勝ち取り、全国の舞台でも7ゴールを記録。それでもやはり全国大会常連の優勝候補の壁は高かった。

 これから選手権に向けて走り出すが、キャプテンのDF大平直哉(3年)は「予選から通じてプレミアに勝つというのがあったので、そこはしっかり借りを返さなければいけない。冬は大阪は1枠なので、そこにこだわりをもってしっかり勝っていきたい」と予選では決勝で履正社に、全国では大津に敗れたことで"プレミアに借りを返す"という明確な目標を示した。

 この試合で「相手のFWの小林君だったり、規格外の選手たちとやり合って、いつもなら跳ね返せるところを収められてしまう、ハメられてしまう」(矢田監督)と上のレベルを経験したDF陣。攻撃に関しては「自信をもってチャレンジできた」と手ごたえを得た。

 「ベスト8の壁を体感したことで次につながる」

 関大北陽のインターハイはここで終わりを迎えたが、関大北陽イレブンの"下剋上"はまだまだ終わらない。 

 (文・写真=会田健司)
▽令和4年度全国高校サッカーインターハイ(総体)
令和4年度全国高校サッカーインターハイ(総体)