成立学園を支えるスタッフ陣(写真=矢島公彦)

 「『この子らに胴上げされるんだ』と思いましたね。『こういう練習やってほしい』『ああやってほしい』と注文をつけてきて、『そんなこと言うなら勝手にしろ』と、そんな言い合いもしたんです。でも、そんな子たちに『胴上げするから来て』と言ってもらって嬉しかったですね」

 選手個々が確固たる意見を持ち、それをぶつけ合うことで築かれてきた成立学園の結束は実に強固。試合中に指揮官から指示が飛ぶことは多くない。ベンチに身体を預けながら戦況を見守るのが山本監督の基本スタイルで、「選手には『ピッチに立ったらコーチの声は聞こえないんだから、自分たちで判断してやりなさい』と言い続けている」から、必要以上に口を出さないのである。

 そうして磨き上げてきたスタイルに加え、今予選を通じて「粘り強くなってきた」と指揮官は語る。

 ”風通しの良さ”が生み出す流動的なサッカーで全国での躍進なるか。

 「うちらしいポゼッションサッカーをできればやりたいなと」。控えめながらも、山本監督の言葉には闘志がうかがえた。

(文=多田哲平、写真=矢島公彦)

▽第101回全国高校サッカー選手権東京予選
第101回全国高校サッカー選手権東京予選