ハーフタイムに選手たちに檄を飛ばす桐光学園の鈴木勝大監督(写真=会田健司)
桐光学園(神奈川)は8月3日、令和5年度全国高校サッカーインターハイ(総体)の準決勝で国見(長崎)を0-0(PK;5-4)で破り、見事に決勝進出を果たした。
0-0で迎えたハーフタイム。桐光学園ベンチでは「戦う気持ちが出ていない!」「尚志や帝京大可児や成立に申し訳ないよ!」「こんなのフットボールじゃない!」「強度・切り替え・運動量がうちの生命線だよ!」と選手たちに次々と鈴木勝大監督の檄が飛んだ。
試合開始からファーストプレーで両チームの選手が競り合いで接触し、このプレーで国見のFW坂東匡が負傷退場。その影響もあったか、どこか球際で遠慮しているような雰囲気が漂い、それが指揮官の目には選手たちが戦えていないと映った。
「本当に情けない。うちが追及しているフットボールではなく蹴鞠になってしまった。牙がない、ヨダレを垂らさない、戦わない、こういうところが多く見られたので、非常に歯がゆいゲームでした」とこの試合を振り返った鈴木監督。
「やっぱり尚志とか可児とか成立の選手たちに申し訳ないんで。それが僕は一番腹だたしくて。みんな悔しい思いをして旭川を去って行きましたけど、そういう思いも汲める器になってほしい」と自分たちに敗れて去って行ったチームの選手たちが、このプレーをみたらどう思うのかと選手に伝えたかった。
それでも一度狂った歯車はそう簡単には直らない。気合を入れ直して挑んだ後半も最後までゴールを奪うことは出来ず、PK戦で辛くも勝利を手にした。
しかし、後半はセットプレーから何度も国見ゴールに迫れば、守備でも後半アディショナルに迎えたピンチでDF川村優介(3年)がシュートをゴールラインギリギリで掻き出すなど「戦え!」という指揮官のメッセージは選手たちにも確実に届いていた。「檄を飛ばしたことが多少はリンクしたかな」と鈴木監督も少しは手応えがあったと口にした。
準決勝は納得の内容とはいかなかったが、この勝利で日本一に王手をかけた桐光学園。
「東山と岡山学芸館の国立の5万人の決勝が僕には凄く印象に残っていて、国立で勝つ為に何が必要なのかということをここでしっかり味わえれば」とあくまで指揮官にとってインターハイ決勝は選手権決勝に向けての通過点。
2チームしか味わえない夏の全国決勝という舞台を経験し、桐光学園は目標の冬の日本一へ歩みを進めるつもりだ。
(文・写真=会田健司)
令和5年度全国高校サッカーインターハイ(総体)