明秀日立のDF山本凌(写真=多田哲平)
明秀日立(茨城)は令和5年度全国高校サッカーインターハイ(総体)で初優勝を果たした。4大会ぶり4回目の出場となった今大会、静岡学園(静岡)や青森山田(青森)ら全国トップクラスの強豪を次々になぎ倒し、最後は神奈川の名門・桐光学園とのPK戦に及ぶ死闘を制してみせた。
その明秀日立をキャプテンとしてチームを引っ張ったのがDF山本凌(3年)だ。日本一が決まった後、「優勝したんだなと思うけど、日本一という実感は正直まったく沸いていないんですよね」と笑う。
笑顔が爽やかな主将は、CBとして守備を支え、コーチングで味方を鼓舞した。決勝前には、『自分たちはまだ何も成し遂げていない。世間の人たちに注目されて期待されているけどそんなのは関係なく、とにかくこの一戦を本気で戦い、本気で桐光学園を倒しに行こう』とチームメイトに発破をかけて、エンジンをかけた。そうした声が山本の特徴だ。
「試合中もとにかくコーチングは止めないことは意識しています。苦しい時でもキャプテンの僕がでかい声を出すことで『アイツはまだ諦めていない』と味方に自信を与えられる。競り合いの時に自分が大きな声を出してはね返すとチームの雰囲気が良くなったりする。だから声は勝手に出てしまうんですよね」とキャプテンとしての意識を話す。
萬場努監督が「あいつは優しすぎるので」と心配するほど柔和な性格だが、ファン・ダイクや岩田智輝のような闘将タイプがプレーの理想なのだという。
優しさと熱さを併せ持つ山本が正式なキャプテンとなったのは今回の全国大会直前。実は4月末の関東大会予選前日の練習後に監督に直談判をしたことがある。『明日から関東大会が始まるので、キャプテンがいないとチームとして不安定になると思う。自分がキャプテンをやりたいです』と、そう話したそうだ。
令和5年度全国高校サッカーインターハイ(総体)