2ゴールを演出してチームの救世主に(写真=多田哲平)

 「ロングスローがああいう形で入るのは初めて。GKコーチの古川(大海)さんに『思い切り投げろ』と言われて、そのとおり思い切り投げました。結果的に得点につながったので良かったです」と当人も照れ笑いを隠せない、思わぬラッキーゴールだった。

 その後も小沼はチームをなんとか救おうと積極果敢に相手ゴール前に顔を出していく。右サイドからのクロスには滑り込みながら懸命に足を伸ばして、追加点を狙った。

 そして、ゴールへの強い意志が再び結果として表れたのは、後半アディショナルタイム90+6分、ゴールまで35メートルほどの位置からのFKだった。MF芝田玲(3年)が蹴り入れたボールに反応してゴール前に飛び出すと、右足で軌道を変えて見事にゴールネットを揺らしてみせた。

 「玲さんがすごく良いボールをくれた。ちょうど思い切り足を伸ばしたところにボールが来て、良いタッチになって、狙ったとおりに決められました」と振り返る渾身の逆転弾だった。

 その直後に試合終了のホイッスルが鳴り、青森山田は勝利し、首位に返り咲いた。計5ゴールが生まれた試合ではあるが、この日の主役は間違いなく小沼である。

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