埼玉・浦和西高と早稲田大で活躍した今井敏明氏(左)(写真=本人提供)
埼玉・浦和西高と早稲田大で活躍した今井敏明氏(68)は、Jリーグの前身である日本サッカーリーグの富士通(現川崎フロンターレ)に在籍し、第58回天皇杯でベスト8に進んだ。引退後は浦和西のコーチとして指導者のキャリアをスタートさせ、富士通のコーチをはじめ東京ガス(現FC東京)やJ1川崎でそれぞれコーチと監督を歴任。台湾代表監督時代はワールドカップ南アフリカ大会アジア1次予選を戦うなど、豊富な指導歴の持ち主だ。
浦和西では1学年下に日本代表やガンバ大阪などで指揮を執った西野朗氏もいたが、埼玉は浦和市立(現市立浦和)と浦和南、児玉が盟主の座を争っていた時代。在学中は無冠に終わり、2年生のインターハイ予選準優勝が最高成績だった。
今とは指導体制で隔世の感があり、1年生の時は後に埼玉県サッカー協会副会長を務めた星野隆之氏がコーチ役でいたが、2、3年生は仲西駿策監督ひとりだった。
「国際審判員の仲西先生はサッカー界で顔が広く、そのおかげでいろんな強豪と練習試合をし、たくさんの経験を積めました。恵まれた環境で3年間過ごせたことに感謝しています」
春休みには静岡の藤枝フェスティバルに招かれ、名将・長池実監督率いる藤枝東の胸を借りた。全国高校選手権で結果を出し始めた帝京は、浦和西にたびたび出向いてきたという。
今井氏は「毎日3時間くらいの練習はハードでしたが、先生は怖くなかったし、怒鳴られた記憶もない。新しモノ好きの先生は海外の流行をすぐ取り入れました。ある試合の後、『あの場面ならヒールキックを使う手もあったぞ』って言うんですよ。練習でやったこともないし、僕らが考えもしない提言をしてくれたものです」と述懐する。