成城学園イレブン(写真=K,Nishiyama)

　しかし、同時に相手のハートにも火をつけたことで絶対的な高さを誇る矢田をターゲットに創価が勝ち越しを狙ってくる。それでも粘り強く拾い続けた成城学園は前半アディショナルタイムに、一瞬のひらめきから抜け出したMF8大重宙之が FW10近藤祐成のリターンパスを落ち着いてゴールに流し込み逆転に成功する。

　それでも残り時間は40分。ハーフタイムに「向こうは信頼している9番に合わせてくる。無理に競り合わずにしっかり予測して、セカンドを拾って繋いで行こう」と指示を与え選手を送り出した指揮官。

　「後半はハーフタイムでロングキックの対応をしっかりやろうと話したので、そういう意味では前半よりはしっかりセカンドボールを拾えた。その辺は選手たちがやっぱり意識を変えてやってくれてシュートまで行かせなかった。それでもCKとロングスローがあるんで、なかなか 難しかったですけど」

　「セカンドを拾って繋いで行こう！」というよりシンプルな戦い方を与えたことで、後半は見違えるように動きが整理されたチームは追加点こそ奪えなかったものの、追いつかれるという危機感を感じさせない力強さを見せて見事に難敵を振り切った。3回戦の相手は関東一。またまた難しい相手との対戦になる。

　「もう絶対的な力の差はある。ただ、捨て身とかじゃなくて、春もここで、このステージでやられてるんですよ、インターハイも。去年も選手権で1つ勝って、このベスト16に入るところが1つ我々にとっても壁になってるんで。やっとここでまたチャレンジ権を得たので、そこは自分たちのやってきたことをしっかり出しながら勝利を目指したいと思います」

　まだ見たことがない景色を見るために、オレンジ軍団は拾って繋いで一丸となって、強豪・関東一に挑む。

(文・写真＝西山和広)