優勝杯を掲げて喜ぶ正智深谷の選手たち
前半18分に左CKを獲得した。キッカーは技術とパンチ力を兼ね備えた左利きのSB鹿倉颯太(3年)。ニアサイドに蹴り込んだボールは、MF大和田悠(3年)の体に当たって転がっていく。CB佐藤飛友(3年)が素早く寄せて右足シュートを放つと、相手に触れコースが変わってゴールに吸い込まれた。
主将の大和田が「セットプレーはうちの最大の強み」と言えば、司令塔のMF近藤七音(3年)も「今年はCKからの得点が多い」と口をそろえる。
4月の関東高校大会予選準々決勝で、武南から奪った3点のうち2点がFKとCKだ。延長にもつれ込んだ6月のインターハイ(総体)予選準決勝では、西武台に延長前半に先行されながらも、後半にCKから同点ゴールをたたき出している。
セットプレーのキッカーを担う鹿倉は「元々左足には自信がありましたが、練習を重ねてこの1年でさらに磨きがかかった。自分の左足でチームを勝たせることを目指しています」と胸を張り、プレースキックの練習には余念がないそうだ。
正智深谷はそう得点力が高いわけではない。今大会は5試合で14点を奪ったが、伊奈学園との初戦の2回戦で記録した8点が効いているに過ぎない。ベテランの小島時和監督も「ここ最近、うちには点取り屋がいないので、みんなで工夫して何とか取ってきたんですよ」と語る。
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▽第103回全国高校サッカー選手権埼玉予選
第103回全国高校サッカー選手権埼玉予選