ふたりの出会いは順天堂大学サッカー部で、芦田監督が2つ先輩だ。

 長野県出身の同監督は、全国高校選手権に県勢として最多13度出場の松商学園から順大に進み、J2ブラウブリッツ秋田の前身TDKサッカー部に入った。北信越リーグの長野エルザSC(現J3長野パルセイロ)などでもMFとしてプレーし、引退後は教員に転身。08年から小諸商業に7年、全国高校選手権で1度、全国高校総体で2度代表となった市立長野にこの3月まで13年奉職した。

 県内では強豪校の一角に数えられる市立長野だが、世代別の日本代表を毎年擁する昌平との実力差は大きい。指導に当たり多少なりとも不安を抱えていたと思われるが、「どこでやってもサッカーそのものは変わらないし、変な力は入っていません。サッカーからぶれないことが重要ではないか」ときっぱり否定した。

 3月に開催されたJヴィレッジカップU-18で昌平の試合を2日間視察し、プレミアリーグ開幕の2週間前から本格的な指導を始めた。チームと選手を多角的に観察すると描いていたことのうち、できないことがかなり目に付いたそうだ。そこで芦田監督は、ピッチ上での義務と責任を選手にこう伝えた。

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