実は野口には、若干の不安もあった。準決勝までの自分たちの戦いぶりについて「試合の入りに隙も多く、最初に押し込まれたり相手に決定機を与える場面が多かった」と、チームの仕上がり具合が気になっていたのだ。しかし、「決勝戦ともなると、チャンスに決めきれなかったりする時間帯もある。焦れずにいこう」と切り替え、仲間を鼓舞することも忘れなかった。

 前半は日章が主導権を握るものの、スコアは動かず折り返す。ハーフタイム、日章の原啓太監督は、「1点取れば流れは変わる。絶対チャンスは来るからボールをしっかり動かそう、鵬翔の両サイドを崩していこう」。鵬翔の上永監督は、「怖がらずにしっかりと準備しよう。シンプルな攻撃にならないように、しっかり相手を見ていこう」と声をかけ、後半のピッチに選手を送り出した。

 そして62分、この日のラッキーボーイが姿を現す。直前に負傷した脇元亮汰に代わって左WGに入り、先制点を決めた1年生の岩元航希だ。起用について原監督は、「勝負どころに向けて、準備していた選手のひとり。足元はまだ力強さはないが、体の動きがしなやか。攻撃にスイッチを入れる能力があるし、柔らかいボールタッチや、決定的な仕事をするところが魅力なので、学年関係なく起用した」と試合後に振り返った。

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▽令和7年度全国高校サッカーインターハイ(総体)宮崎予選
令和7年度全国高校サッカーインターハイ(総体)宮崎予選