U13 スペインでの格闘技

 そんな状況の中でも横山は、巧みなポジショニングやこぼれ球からゴールを重ね、チーム内得点王となる活躍ぶりを見せる。

 2シーズン目になると、主に州の同年代チームとの対戦に変わる。ある選手によるいろいろな問題が続いたため横山は怒り、わざとパスを出さないことは解決したが、アルバセテとは力の開きがある対戦チームが多かったことで、力任せのプレーで勝つ試合が続いた。ウイングで横山がサイドでの展開を狙っても、昨シーズンとは異なりチームメートは力任せのプレーが通用して、それだけで試合が終わってしまうことだらけだった。しかし、サッカーは方法よりも勝利することによって評価を得られるため、これはこれで間違いではないと横山は語る。こういった中でも自分を発揮させる対策は小学生の頃からしていたのだが、監督の意向でもある組織プレーを横山もチームメートに求め続け、U14のチームでは、自ら活躍する機会を減らしてしまったのだ。

 3シーズン目は欧州トップレベルでプレーしたいと強く望み、元日本代表FW城彰二氏のスペイン時代の代理人と言われている人に、約束も取らずに会いに行った。「どこかトップレベルのビッグクラブに加入させてください」と面識もない代理人に直談判したのだ。温かく受け入れてくれたアルバセテに申し訳ない気持ちだった。

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