多摩大目黒 vs 早稲田実業(写真=K,Nishiyama)

 今大会4試合連続無失点の早稲田実業は多摩大目黒を相手に、この日も堅守で耐え続けた。185センチの大型FW10ヘンリー公太を起点とした攻撃、DF3川畠暖世のロングスロー。インターハイ出場校の修徳を延長PK戦で下してきた勢いそのままの猛攻に、野川は「準決勝の彼らの試合を見て分かっていた。相当強いチームなのはわかってたので、誰も驚いてなかった」と冷静だった。

 だが野川は、このチームが単なる守備的なチームではないと強調する。「一昨年と違うところは、前でプレイできる人数が多くて、テクニックがある選手もいる。堅守はベースだけど、刺せる時は刺せる力は一昨年よりある」。

 この変化は夏のインターハイ予選準決勝、帝京に0-4で完敗した後に生まれた。野川は当時を振り返る。「うまい選手が多かったけど、逆にうまいからといって安直に物事を考えてしまう選手が多いって言われてて。インターハイをきっかけに、自分たちのベースを見直そうと」。そこから3年生同士でミーティングを重ねた。「俺たちの武器は何なのか、弱みは何なのか。時間切れにならないように必死に前進してきた」。

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▽第104回全国高校サッカー選手権東京予選
第104回全国高校サッカー選手権東京予選