西澤が「さすがの出来。こういう所でアイツが決めるのは珍しくないので驚かない。もっと上に行って欲しい選手」と称えるエースの見事な一撃で延長戦に持ち込むと、ここからは「やっていて自分たちの方が走れていて、活気があるのが分かった」と西澤が胸を張ったように山梨学院高等学校がアグレッシブな動きで桐光学園を押し込む。延長前半5分には宮崎が左サイドをドリブルで突破すると、ゴール前に入れた低いクロスが相手に当たって、オウンゴールを誘発。終了間際には桐光学園も右CKのこぼれ球を拾ったMF田中彰真のパスからDF内田拓寿がゴールを狙った枠を捉えることができず2-1で試合終了のホイッスルを迎えた。

 山梨学院高等学校は、プリンスリーグ関東の第3節から5連敗するなどシーズン当初は低調な結果に終わっていた。勝つことが選手の成長に繋がると考えた安部監督はできることとできないことを明確に分けて、勝つために今できることを徹底。その結果が走力とゴールに向かう姿勢を強調したサッカーだった。「彼らが変わろうとした結果。後ろ向きにならず、前に行く姿勢を見せてくれた」と指揮官が称えたようにひと夏で頼もしさが増した結果が、平成最後のインターハイ王者という称号に繋がった。

(文・写真 森田将義)