昨年先輩たちが泣いたPK戦で西武台GK仲山晃平が暗い記憶を明るい記憶に塗り替えた。

PKを意識し出したのは延長後半に入ってから。気持ちを整えて臨むと、相手の4人目のキッカーが右に蹴るのを完璧に読み切ってストップし、応援席に向けてガッツポーズ。その後、成徳深谷の5人目が外して勝負が決まると、勢い余った仲間たちに押し倒されて、もみくちゃになりながら勝利の瞬間を味わった背番号12は「みんなに迷惑をかけていたので」と喜んだ。

昨年の選手権予選3回戦・成徳深谷戦は応援席から見守った中でチームはPK戦の末に敗退。8強入りを逃し、悔し涙を流す先輩たちの姿をピッチ外から見つめることしかできなかった。

もともと1年時の序列は13人中の13番手(1年生は4人)と一番下。同ポジションでは同級生の高橋クリスがひとつ上の学年でデビューを飾る中でなかなかトップチームには縁がなかったが、持ち前の「ひたむきさ」で練習でも常に最後まで残ってトレーニングに打ち込むと、新チームからトップチーム入りを果たし、そのまま1枠のレギュラーポジションを掴み取った。

ちなみに新チーム始動後、公式大会での2敗はいずれもPK戦によるもの(東京ユースマクロンカップの日本大学戦とニューバランスカップの横浜創英高校戦)。昨年から続くPK戦の呪縛を終わらせたキーパーは大一番の準決勝・昌平高校戦に向け、大いに自信を深めた様子だった。

記事提供:埼玉サッカー通信・石黒登