3戦7発という数字だけ聞くとどんな傑物ストライカーが出てきたのかと想像するが、これを残したのは実はサイドバックだ。今年、左サイドバックに転向した大竹琉生が躍動している。

ジュニアユース年代はバリバリの点取り屋、昨年もフォワードとしてプレーした中で、今年からは新たにサイドバックに挑戦中。すると新シーズン公式戦初戦となった1回戦の熊谷工業戦でいきなり2ゴールを記録、さらに2回戦の西武文理戦ではハットトリックを達成すると準決勝でも2ゴールを叩き出した。決勝はゴールはなかったが、7得点で堂々の得点王に輝いた。

得点力開花について大竹は「今年はドリブルする人が多くて、数的優位を作れる状況が多いのでサイドがフリーになる」と分析する。また、パンチ力と正確さを併せる左足のキックも大竹の武器のひとつだ。1回戦で強烈なフリーキックをゴール上段に叩き込んで応援席をざわつかせると、この試合では鋭いサイドチェンジを小見の足元にピタリと通して2点目を演出した。

もちろん始めてまだ2ヶ月弱。「もう少しプレーを整理しなければいけないところもある。個の打開とグループ、その辺りのメリハリをつけられるようになれば」と指揮官が言うようにやらなければならないことはあるが、逆に言えばそこは今後への伸び代として楽しみな部分。

理想のサイドバックについて聞くと「そういうのはないですけど、チームで一番点を決めて、一番貢献できる選手になりたいです」と笑顔で語った。新ポジションでも点取り屋宣言した昌平の切れ味鋭い懐刀は既成概念に囚われず、自分なりのサイドバック像を打ち立てるつもりだ。

記事提供:埼玉サッカー通信・石黒登