前半開始から青森山田が押し込む形となる。北越もサイドに一度ポイントを作る事でボールを落ち着かせ、相手を押し込んでいたが、その場合は青森山田もブロックを敷いて相手にもたせながら守る。互いに高度な試合展開を繰り広げるが、次第に北越がボールを保持する時間が長くなる。

 前半11分、北越は、早いリスタートから11番田中がボールを裏で要求。青森山田DF5番藤原がギリギリの所で、スライディングで止める。同14分、北越は14番安藤から右にサイドチェンジするボールを5番藤吉が受け仕掛けると、青森山田のDF陣は堪らずファールで止める。しかし、9番庄内のPKはGK佐藤がセーブし難を逃れる。クーリングブレークを挟み、気合いを入れ直した青森山田。11番後藤が再開と共にシュートを放つもこれはゴール左に外れる。両者チャンスを作りながらも、前半は0-0で試合終了。

 後半開始早々、青森山田8番浦川の左サイドからのクロスに10番武田が合わせようとするも、これは合わせられず。対する北越は、後半7分、5番藤吉が裏へ抜け出し、決定機を迎えるもゴールを奪う事が出来ない。更にその直後、9番庄内が右サイドでボールを奪いシュートを放つが、これは跳ね返されてしまう。両校ゴールに迫る中、同13分に遂に試合が動く。北越が左サイドで数本パスを繋いだ後に右サイドにいる5番藤吉へ展開。5番藤吉が上げたクロスに、9番庄内が滑り込みながらファーサイドで押し込み、遂に執念の一点をもぎとり先制に成功する。しかし同21分、昨冬の選手権覇者の青森山田が反撃に出る。右サイドで得たフリーキックから、10番武田がクロスを上げると、9番田中翔太が執念のヘディング。これが決まり同点に追いつく。

 後半終盤ゲームを決めに行きたい青森山田はキレのあるドリブラー13番得能草生を投入。対する北越も最後まで得意の陸戦で攻める。しかし、このままスコアは動かず勝負の行方はPK戦に委ねられる。PK戦では先攻の北越が5人目まで全員が成功した一方で後攻の青森山田は1人目のキッカーが失敗し、北越が5-3で制した。勝利を収めた北越の荒瀬陽介監督は「選手達の楽しさが試合中も伝わって来た。今後も相手を見ながら判断したポジションを取りながら、攻撃的な自分達のサッカーをしていきたい」と語れば、敗れた青森山田の黒田剛監督は「まだまだ自分達のやるべき事を徹底的に出来ない弱さが出た。まずはトレーニングから励み今後に繋げたい」と悔しさをにじませた。また、浦和内定の青森山田10番武田は、「今後修正すべき点を修正していきたい」とコメントを残しピッチを去っていった。

(文・写真=石津大輝)

 
▽令和元年度全国高校サッカーインターハイ(総体)
令和元年度全国高校サッカーインターハイ(総体)