拮抗したゲーム展開でもセットプレーからゴールを取れるのは今年の武南の強みのひとつだ。

安野天士は2ー2で迎えた後半17分に右サイドでフリーキックを得ると、「直接入っても、誰かが触ってもいいようなボールを意識して蹴りました」とゴール前でワンバウンドするような中弾道を選択。するとボールは誰にも触れないまま、直接逆サイドネットに突き刺さった。

直前に同点ゴールを決められており、どちらに転ぶかわからなかった中で貴重な勝ち越し弾。ゴール後には手のひらを下に向けたまま上下させて「落ち着け」のジェスチャー。今季ゲームキャプテンを務める背番号2は「まだまだですけど、やっぱり自分がチームで一番声を出して、チームの引き締め役をやろうと思っているので」というようにしっかりとチームを締めた。

チームとしてインターハイ初戦となった3回戦の成徳深谷戦では、雨でグラウンドコンディションが悪い状況でフリーキックから大谷の先制弾をアシスト。2戦連続で得点に絡み、「キックも自分の特徴のひとつなので、そういうところもいろいろな人に見てもらいたいです」。

セットプレーは武器だが、そこは武南のプレーヤー。「やっぱり流れの中で崩して決めたい気持ちもあります」。目標としてきた全国まであと2つ。「気持ちだけで行ける世界じゃない。技術や決め切るところをしっかりやって、最後にやっぱりメンタル面が問われると思うので、そういうところで引き締めてやりたいと思います」。プレーで、精神面でチームを引っ張る。

記事提供:埼玉サッカー通信・石黒登