前半のリードを守り切った青森山田、連覇まであと2勝

(写真=矢島公彦)

 高校サッカー界を牽引する青森山田と躍進著しい昌平。1月5日に行なわれた準々決勝は15,068人の観衆を集め、注目度の高さが伺えた。その中で先手を取ったのは青森山田だ。

 序盤からフィジカルの強さと出足の鋭さで相手を上回り、中盤で昌平の攻撃を寸断。ボールを奪うと素早く前線に繋いで敵陣に迫った。10分には右サイドを打開し、松木玖生(1年)がゴール前に折り返す。これに浦川流輝亜(3年)が合わせる。一度はDFにブロックされたが、自らこぼれ球を押し込んで先制点を奪った。続く19分には、後藤健太(3年)が相手のクリアミスからゴール。早い段階で2点差とすると、青森山田の勢いは止まらない。前半終了間際には浦川の左クロスから、武田英寿(3年)がダイビングヘッドでゴールをこじ開けた。

 3−0。前半終了時点で予想外の点差が付いた。だが、ここから昌平が意地を見せる。

「ゴールに向かうシュチュエーションをどう増やしていくか。よりゴールに近い、直結する動きにフォーカスしていこう」

 藤島崇之監督に鼓舞された選手たちは、見違えるようなパフォーマンスで攻撃を展開。相手のプレッシャーに慣れると、中盤でテンポよくパスを繋ぐ。狭いエリアを少ないタッチで崩し、ゴール前に迫る回数が増えた。すると、後半19分だ。高い位置で小見洋太(2年)がボールを奪い、ペナルティエリア内にラストパス。絶妙なタイミングで須藤直輝(2年)が受けると、GKとの1対1を制し、冷静にシュートを流し込んだ。

 この一撃で息を吹き返した昌平。以降も右サイドハーフの鎌田大夢(3年)を起点にゴールに襲い掛かる。75分には鎌田が鮮やかな浮き玉のパスを相手CBの背後に通すと、途中出場の山内太陽(3年)がネットを揺らした。

 しかし、昌平の反撃はここまで。前半のリードを守り切った青森山田が3−2で制し、連覇まであと2勝とした。

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