決勝ということもありお互い慎重にゲームに入りチャンスらしいチャンスがないまま時間が進む。しかし徐々に前からのプレスを強めた阪南大高が押し込み始めると26分、阪南大高はミドルシュートのこぼれ球に9番FW篠畑純也が反応しGKと1対1になるもこれは1番GK田川知樹に間合いを詰められ止められてしまう。35分には阪南大高13番DF小西宏登が左サイドを自陣からスルスルとドリブルで持ち上がりGKが処理しづらいクロスを上げるがこれも田川にキャッチされてしまう。お互い無得点のまま前半を折り返す。

後半の入りから阪南大高は10番MF窪田伊吹を投入し仕掛ける。そして55分、阪南大高は縦のロングボールからクロスが上がり中でフリーになっていた6番MF柳武輝がヘディングで合わせるもこれを枠の左に外してしまう。阪南大高が決定機を逃すと66分、今度は興國が7番MF山崎希一を投入。準決勝2ゴールのスーパーサブを入れて勝負に出る。阪南大高が69分、70分に連続シュートのチャンスを決められずにいると興國が遂に均衡を破る。70分、前半から9番FW杉浦力斗がDFを引っ張り続けてようやく出来たバイタルのスペースにハーフエライン付近から10番MF樺山諒乃介が得意のドリブルで侵入しオフサイドラインギリギリで待つ杉浦に鋭いパスを通す。DFを背負いながらボールを受けた杉浦は素早く反転し右足でシュート。「あのコースに流し込むイメージは出来ていた」というシュートは左上角のGKが届かないコースに突き刺さった。試合時間残り10分を切ったところで興國が先制に成功する。追いつきたい阪南大高は74分、左サイドでFKを獲得すると。中に入れたボールにファーで2番DF橋本直旺が競り合いに勝ちヘディングで合わせるがこれも田川にセーブされてしまう。すると78分、興國は左CKを2番DF橋本丈が左足でニアサイドに早いボールを入れるとDFの死角から前に走りこんできた樺山が左足のジャンピングボレーで合わせゴール。一瞬会場も何が起きたのか分からない空気になるほど樺山のシュートが角度のないところからゴールに飛び込み興國に大きな追加点が入る。阪南大高も諦めずに攻めるもそのまま試合は終了し、杉浦・樺山の2枚看板が大仕事をこなした興國が2-0で勝利し悲願の初優勝を飾った。

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▽第98回全国高校サッカー選手権大阪予選
第98回全国高校サッカー選手権大阪予選