今大会、初めて相手を追う展開となった東福岡だったが、選手たちに焦りの色は無し。後半開始からは後方からのボール回しで左右を揺さぶりながら、相手陣内で人数をかけて押し込んだが、大津DFを崩し切れず、同点に持ち込めない。前半同様、ピンチを凌ぎ続けた大津一美和成のポストプレーを起点にサイドを攻略。53分にはPA左外からのカットインを見せたMF坂元大希が一美和成とのワンツーでゴール前に進出。角度の無い位置から放ったシュートがネットを揺らしたが、判定はオフサイドで、追加点を奪う事が出来ない。

「2-0にする機会を活かせなかったのが痛かった」(平岡監督)大津だったが、それでもここまではプラン通りの展開。64分には今大会、これまで幾多のエースを封じてきた“クローザー”役のDF時松拓海を投入し、東福岡の心臓であるMF中島賢星を抑えて、優勝を掴みに出た。

 しかし、残り3分で運命が大きく変わった。67分、マンマークを受けた中島賢星の代わりに自由を得た近藤大貴が左サイドにパスを展開。受けた赤木翼がタッチライン際から、ゴール前に上げたクロスがそのままネットに突き刺さり、東福岡が試合を振り出しに戻した。

 栄冠の行方は延長戦に持ち越されたが、ここからは運動量に自信を見せる東福岡のペースで試合が展開。延長4分、大津のカウンターを止めた末永が自陣左からハーフウェーラインまで持ち上がり、前に出ていたGKを見計らい、ロングシュート。大急ぎで戻ったGKの頭上を越えた一撃がネットを揺らし逆転に成功すると、延長前半6分には赤木翼のシュートのこぼれ球を途中出場のFW餅山大輝が押し込み加点。終了間際にも餅山大輝のシュートのこぼれ球をエリア右から赤木翼が豪快に叩き込み、4-1で試合終了。東福岡が3冠を達成した1997年以来、17年ぶりとなる日本一の座に輝いた。

【取材・文・写真=森田将義】