武器を発揮した一方で課題がなかったわけではない。クロスの精度に改善の余地を残したからだ。73分に右サイドを抜け出し、ニアサイドの若月にピンポイントでクロスを供給。惜しくもこれは得点に結び付かなかったが、それ以外の場面では味方に合わず、ゴール前を大きく横切るようなボールも少なからずあった。
「最後の局面でゴールを決められるボールを僕が上げたかった」と悔やんだ畑。クロスの質は市立船橋でも抱えていた課題であり、日頃から意識してきた点でもある。普段のリーグ戦では少しずつその成果が見られていただけに、大舞台で力を発揮できなかった点に悔いが残った。逆に言えば、日本の高校レベルで通用しても、寄せの早い強豪国との対戦ではまだ力を発揮できなかったという証。試合の序盤は相手のプレッシャーに屈し、思うように前へ出られなかった点も含め、“世界基準”で課題と向き合わなければならない。
本人も力不足を理解しており、謙虚に構えている。そうした姿勢が畑の良さ。無名の存在から1年足らずでU-17日本代表に上り詰めた原動力でもある。
「細かいミスが多かったので、僕のところで上手くつなげていれば、攻撃が変わる場面もあった。細かいミスに気を付けて、もっと攻撃に関わりたいし、決定的な仕事もしたい。次のセネガル戦でチャンスがあれば、チャレンジしたいです」
貪欲に上を目指す男はアメリカ戦の反省を踏まえ、セネガルとの第3戦に向かう。
(取材・文=松尾祐希)